前半、鳥栖の強いプレッシャーとメンタルをまともに受けて劣勢の時間が続いた。後半は戦い方を変え、チャンスをいくつか作ったが、鬼門ベストアメニティスタジアムでの勝利はならなかった。
セレッソサポーターとすれば、去年からあったベースに新戦力を加え、プラスアルファの強さを期待していた。だが去年までのメンバーと今年からのメンバーの間に意識の差があり、うまく融合できなかった。
もどかしい前半。
スタメンとベンチは下記の通り。
試合開始時 |
ブランキーニョ、清武、キム・ボギョンは同じ2列目ではあるけれど、清武、キム・ボギョンがよく下がってボールを受けていくのに対し、ブランキーニョは前線に近い位置でボールを待つ様子が見えた。これが個人の性格によるものなのか、チームとしての決まりごとなのかはわからない。
攻撃の起点が扇原、丸橋、清武のトライアングルなのは去年と変わらず。しかしサイドバックが両方上がっていくことは少なく、残ったサイドバックとセンターバック、山口螢の4人が最終的な守備組織として残る。
前半立ち上がりはユン・ジョンファン監督のもと、ホームでJ1初勝利を狙う鳥栖の激しい出足に戸惑う。
攻撃では起点となるべき丸橋が徹底的に狙われた。彼にボールが入ると最低二人がプレスに入り、思うように動けない。
守備の面では、やはり豊田の存在が大きく、苦戦。ボールが集まるのがわかっていて、対人守備に長けた藤本を当てていても、何度もやられた。立ち上がりの豊田落として池田のシュート、前半7分のセットプレー、17分もロングフィードから豊田絡んで藤田がフリーでシュート、3度も決定的なシーンを作られた。
それを全てキム・ジンヒョンを中心にしのげたのはポイントだった。もし失点していたら、立て直すのに長い時間がかかっただろう。
セレッソが攻撃の形を作り出せたのは前半20分から。高さはあるがスピード、切り替えが少し遅い鳥栖の裏に長いボールを出して、清武、キム・ボギョンがゴールを狙う。両方ともオフサイドになったが、あれで前がかりになっていた鳥栖の選手たちにプレッシャーを与えることができた。
浮いていたケンペス、ブランキーニョ。
気になったのはケンペスとブランキーニョ。二人とも殆どボールに絡めず、機能しなかった。
ボールが入ってこないケンペスはまだ言い訳がたつが、ブランキーニョと清武、キム・ボギョンが噛み合っていなかったのは心配。時間が解決するものであればいいけれど。
光明が見えた後半。
鳥栖にいいようにやられていた前半から、細かな修正を加え臨んだ後半。少しずつセレッソらしい攻撃が見えるようになった。
相手のプレスが少しずつ衰えてくると、まず山口螢、扇原がボールを持つ時間が長くなり、二人から起点になるボールが入るようになった。後半2分、眠っていたケンペスが豪快なシュートで反撃ののろしを上げる。
後半8分に浮いていたブランキーニョを下げ、前線に播戸を入れると、五分の戦いができるようになる。
後半8分 |
前線が播戸への対応で隙を見せると、裏への飛び出しがより効果的になる。丸橋がフリーで抜け出しシュートも、鳥栖のゴールキーパー赤星がナイスセーブ。
その後も左サイドの清武がボールを運び逆サイドに、右サイドのキム・ボギョンがゴール前で仕事、という形から何度かいいチャンスを作る。後半34分には清武からボギョン、浮き球に山口螢が飛び出すも、またも赤星に阻まれる。
光った両キーパー。
前半はキム・ジンヒョン、後半は赤星が素晴らしい働きで、この試合を引き締めた。豊田もキム・ボギョン、清武も不調であったわけではないが、この二人がそれを上回るパフォーマンスで、ゴールを許さなかった。
特に終盤、セレッソの猛ラッシュに耐えた赤星は敵ながら見事。ロスタイムにあったキム・ボギョンとの1対1も神がかったセーブでしのぎ、鳥栖に歴史的な勝ち点1をもたらした。
ダービーに向けて。
セレッソは負けはしなかったが、好機を決めきれず、勝ち点1でガンバとの大阪ダービーとなった。
課題は数多い。まず前述のとおり、いい動きが見せられなかったブランキーニョが、次の試合までにどの程度チームにフィットしているか。
ケンペスが時間を経るごとにプレーエリアを広げ、僅かながららしさを見せたのとは対照的に、後半8分に退くまで1度も光る動きを見せられなかった。
彼が脅威になれば、ボランチに対するプレッシャーも軽減され、チームの動きがよくなることが予想されるだけに、心配なところ。
また、負傷で後半39分に退いた丸橋、試合後に痛んだ様子を見せたケンペスのコンディションも大事。
後半39分 |
左サイドバックのバックアッパーとして考えていた児玉も怪我をしているため、丸橋も出場できないと、このポジションを務められるのが舩津一人と心もとない。
ケンペスがいなければフォワードの選択肢は播戸、杉本、永井、村田から一人ということになる。90分間フルで1トップができるのは杉本だけ。1試合だけなら播戸を使う手も無い事はないが、そうすると勝負どころでの切り札がなくなってしまう。
もちろん好材料もある。チームの屋台骨、清武、キム・ボギョン、扇原、山口螢が去年よりプレーの精度を増しているのはプラス。特に山口螢は世代別代表での経験をよく生かしていて、今日の試合でも何度も相手の攻撃の芽を摘みとっていた。
センターバックも高さの藤本、カバーリングの茂庭のコンビネーションは思っていたよりいい。キム・ジンヒョンとの連携もしっかりしているから、精神的な動揺が無ければ大崩れはしないだろう。
課題も多いが、得たものも大きい開幕戦。この90分を生かすためにも、ダービーは落とせない。
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