前半19分 ブランキーニョ(C大阪)
前半27分 パウリーニョ(G大阪)
後半45分+4 ケンペス(C大阪)
監督が交代したチームにとって、シーズン序盤の戦いは難しい。セレッソもガンバも長期政権が終わり、新しい監督を迎えたチーム同士。
ガンバ、セホーン監督と呂比須コーチは、チームを一から作り直し、ガンバをリビルドする方法を選んだ。一方でセレッソを率いるセルジオ・ソアレスはレヴィー・クルピから「遺産」を引き継いでいた。その差が出ていたのだろう。
パウリーニョとケンペス、ともにゴールを記録 |
スタメンとベンチは前節とほとんど変わっていない。攻撃的な杉本を下げてボランチの横山を入れたのは、五輪予選から中二日となった山口螢、扇原へのケアを考えたのだろう。控えセンターバックは山下から金聖基に代わっている。
試合開始時 |
ガンバは連敗中だからか、それとも監督交代の影響からか、前年度からいくらかスケールダウンしたように感じた。昨年はあれほど怖かったラフィーニャがあまり機能していない。そこまでいいボールが入らない。
対するセレッソは守備組織がとてもよく機能していた。山口螢、扇原、藤本、茂庭のボックスがとても堅い。
茂庭のカバーリング能力と藤本の対人守備の強さ、山口螢の守備範囲の広さ、扇原のバランス感覚がよく咬み合っていて、高さでも速さでも殆ど負けることがなかった。
相手の攻撃で唯一怖かったのはパウリーニョの個人技。運動量もスピードもあり、一人で局面を打開できる存在。
ブランキーニョ、ケンペスの生きる道。
そんな中で、セレッソが欲しかった先制点を奪う。ゴールキックから素早くリスタートすると、キム・ジンヒョンの低く速いボールがハーフウェーラインを超えて清武に。それを胸でキム・ボギョンに渡すと、間髪入れずゴール前のギャップで待っていたブランキーニョへ。相手DF藤春をかわして冷静にゴール。セルジオセレッソのファーストゴール。
リスタートを早く、手数をかけずに一気に攻めるというコンセプトは、今週入念に確認していたもののようだ。それが試合で見事にハマった。
鳥栖戦の後の記事でも書いたけれど、ブランキーニョのゴール前での冷静さはいいものだ。これを活かしたいのなら、今よりもっと前で使ってもいい。
そうすることで、ケンペスへの負担も減る。
ケンペスは1トップの前任者、アドリアーノやホドリゴ・ピンパォンのようにスピードや正確なボールタッチがあるわけではない。
しかし、今までのセレッソにはなかった「高さ」という貴重な要素を持っている。この試合でも競り合って五分の勝負ができていた。
ところがそこからが繋がらず、競り勝ってボールを保持するものの相手に包まれてボールロスト、というところを散々見させられた。
なら、二人が近しい位置にいて、お互いを保管し合ったほうがいい。鳥栖の豊田と池田のような関係ができれば頼もしい。
ガンバの打開策。
連敗中、セレッソにも先制点を許したガンバ。効果的な攻めや組織的な守りはまだまだという雰囲気だったが、勘所でプレスをかけてセットプレーを奪うと、パウリーニョのフリーキックで同点に追いつく。
今までは遠藤に任せきりだったセットプレーで、パウリーニョという新しい要素が加わったのはプラスだろう。現時点で流れからの得点が期待薄となれば、なおさらだ。
新しくディフェンスラインに加わった今野もいい意味で狡猾なプレーヤー。中澤も含めた高さとバリエーションの豊富さは、低迷するチームを救う糸口になるかもしれない。
前半はタイスコアで折り返す。
山口螢対明神。
後半もチグハグなプレーが続いた両チーム。その中でもバランサーとして入ったセレッソ山口螢とガンバ明神のプレーは見応えがあるものだった。
山口螢は時折狙われてボールロストすることもあったが、それ以上に相手からボールを奪い、チームの守備が崩れる一歩手前で頑張ってくれた。
ユース時代は攻撃の要だった山口螢、レヴィー・クルピのもとでは守備的なプレーヤーとして練磨されてきた。伸び悩んでいた時期が長かったが、去年の天皇杯からグッと存在感を増した。
2010年に3位と躍進した際もアマラウという素晴らしいアンカーがいたが、彼に負けず劣らず、ディフェンスラインの手前で光るプレーを見せてくれた。アマラウには無かったタテへの意識も強く、扇原との連携も慣れたもの。負傷や疲労だけが怖い。
対するガンバではベテランの明神が孤軍奮闘していた。何度攻撃をカットされただろう、彼がいなかったらもう少しラクな試合ができただろうに。
この二人がチームを引き締めていたおかげで、スコア上は動きがなかったが、見応えのある応酬を見ることができた。
選手交代の明暗。
試合を決めたのはベンチワークだったのではと、今になって思う。
セルジオ・ソアレスは開幕戦でも迷うこと無くブランキーニョを下げるなど、勝負に徹した交代策をとる。この試合でも相手の動きが止まってきたところにスピードがある村田を入れ、チームの柱清武もパンク寸前で柿谷に交代させた。
後半33分 |
後半37分 |
五輪疲れ?だった清武 |
その一方でセホーン監督はトップのイ・スンヨルを下げて倉田、二川を下げて阿部を入れた。中盤での運動量をキープしたかったのかと考えたが、それならば最後のカードに放り込み要員であろう佐藤を入れた意味が鈍ってくる。不明確なカードの切り方だった。
かつてのチームメイトとの競り合い |
劇的なラスト。
このままドローかと思われた後半ロスタイム、ケンペスが見事なヘディングシュートで勝負を決めてくれた。
ケンペスのヘッドに至るまでの流れを巻き戻してみると、ボールを奪ったのは村田で、繋いだのは柿谷、キム・ボギョンがためて、酒本が冷静にクロスを上げる時間と空間を作っていた。セルジオ・ソアレス監督とすればしてやったりの決勝点だったろう。
内容は褒められたものではなかったが、リーグ戦では9年ぶりとなるダービーでの勝利を、いい起爆剤にしてほしいと願う。練習から意識していた流れからの得点というのも自信になるはずだ。
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