3/08/2012

なでしこは一人咲く。 #nadeshiko

先週末、12になる娘が、一人で、となり町に住む我が母の家まで出かけていった。


あまりに心配だったので駅までついていったが、当人はどこ吹く風。初めての一人旅は無事に成功した。


日本の女性は強いなと、つとに思う。物理的に強いわけではなくて、心がしたたかというか、くじけないのだ。

アルガルベカップ決勝でのなでしこジャパンも、実にしたたかだった。2点奪われて、流れ的にも劣勢だった前半30分頃までを見た方なら、このままズルズルとなすすべ無くやられていくのではという俺の危惧が真っ当なものであったと、ご理解いただけると思う。

そこから前半までに1点を返し、後半にシステムを変え、やれることを全てやって、同点に追いつくこと2度。もう一歩のところまで頑張った。


澤がベンチにもいられない状態で、キャプテンとしてチームの核になった宮間のプレーは、大会MVPに恥じないものだった。W杯には出ていなかった選手も力があることを見せてくれた。相手チームによって戦い方を変えてくる器用さも素晴らしいものだ。女性の扱いが下手くそな俺にすると、佐々木則夫監督はスティーブン・スピルバーグ以上の名監督に見える。


ただひとつ無念に感じるのは、彼女たちの素晴らしさにW杯まで気づけなかった自分の眼力の無さだ。

他国の強豪と言われる女子代表は、まずフィジカルの強さ、体の大きさがないと始まらないように見える。スピードやパワーが無ければいけないし、上背のある「電柱」役の選手も必ず一人はいる。

なでしこの試合を見る間、他の女子代表同士の試合を見たこともあったが、あまりにスローで驚いた覚えがある。大きく蹴って、電柱役に当てるか、スピードのある選手を走らせるのがベースで、パスを繋げてリズムを掴むなんてことはまずしない。それは異質な様子だった。

いや、今の女子サッカーからすれば、なでしここそ逆に異様なのか。テクニックとメンタルの強い選手たちが長短のパスをつないで試合を支配する。相手を走らせて体力を削り、自分たちの時間を長く作る。言うのは簡単だが、実行するのはたやすいことではない。今のJリーグでもそんなことができるチームはいくつあるだろうか。

それくらいの差異があったのに、W杯優勝という大事があるまで、なでしこと言えば澤くらいしか知らなかったのだ。


注目もされず、環境も整わない中で自分を練磨させるのは至難の業だ。それでも彼女達は世界一になるまで収斂し、世界一になった後も進化を止めない。マスコミがもてはやしても自分を甘やかせない。

これが「日本らしさ」なのかなと感じる。体の強さと心の強さ。口で言うのは簡単だけれど、それを手にするのは難しいし、それを維持し続けることなんて…。


このまま五輪でも結果が残せれば、それは幸せだ。けれど、今このチームの試合が観られるだけでも、十分に満足というのが、本音。彼女達が笑顔でいられるように。せめて娘が、彼女達のプレーの凄みを理解できるようになるまで。

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