前半19分 遠藤 保仁(G大阪)
後半4分 柿谷 曜一朗(C大阪)
延後7分 家長 昭博(G大阪)
試合も、2012年のセレッソも終わった。最後は矢尽き、刀折れ、満身創痍だったから、悔しさもそれはあったけれど、ああ、ようやっと終わったのだ、という想いもあった。今までにない、不思議な、ポカンとした気持ち。
試合終了直後のガンバサポーターの「豚コール」の大合唱も、不思議と何も感じなかった。試合前の少し寂しいエレクトリカルパレードも、なんだか切なく感じたしね。
ガンバサポーターは、それは必死にセレッソを挑発していた。そう、必死だった。なんて言うか、自分と同じ土俵まで降りてこいって感じで。今までの「どうせ俺らが一番だし」みたいな余裕はどこにもなかった。
件のコールにしても、あれは、多分セレッソサポーターにだけ向けられたものではなくて、今年これまで彼らを苦しめてきた内外の諸々、我がフロントだったり、ここぞとばかりにクソミソに叩いてくる他サポだったり、チームの状況だったり、そういうものから開放された「嗚咽」だったんだと。
声の大きさは、それまで味わった苦しみの大きさ、これから味わう苦しみへの恐れみたいなものだったんだろう。 彼らはセレッソを豚と呼んだけれど、鳴いていたのはお互い様さ。
さて、試合は完敗だった。なすすべなしで、よくぞ延長後半まで持ちこたえられた、というくらい。
スタメンは清水戦から変りなし。ベンチには柿谷が復帰、金 聖基が抜けた。
前節では清水が外に外に流れていく攻撃だったから守備は比較的やりやすかった。だがガンバには今野、遠藤、レアンドロというキールがハッキリとあって、中からゲームを作られるのがとても厄介だった。この3人がフリーなゾーンに侵入してかき乱すものだから、セレッソの守備は「攻めて獲る」形より「逃げてしのぐ」形のほうが圧倒的に多かった。
対するセレッソは早く杉本健勇、南野拓実にボールを入れたいんだけれど、ミスからなかなか繋がらず。南野はいいドリブルもあったけれど、結果を見るとシュートゼロで、抑えこまれた印象。
特にきつかったのは丸橋の不調(ケガかもしれない)。彼から始まる攻撃が鈍化していた分、トイメンの佐々木にはやられてしまった。あと、二川にもね。
失点シーンは空けてはいけないスペースを開けたのが悪い。ただあの遠藤があそこまで泥臭く詰めていた姿を忘れてはいけない。老獪なイメージがある遠藤だけれど、体を張ってチームを引っ張っているからこそ、味方もその姿を信じ、走っているんだ。
それ以外にも、よくまあしのげたな、外してくれたなというのが少なくとも2度くらいあって、前半の0-1というスコアはむしろ幸運だった。
後半のセレッソ、このままだとズルズル行ってしまうのが目に見えていたので荒療治。柿谷を入れて3トップに。後ろはレアンドロが中に入ってくる時は横山が、外に流れる時は茂庭、山下がついて、残り二人は4バックのセンターのように振る舞う変則の3バックに変わった。
後半開始時 |
この大胆なシステム変更がガンバの守備をわずかに後手に回らせて、柿谷の素晴らしいゴールを生んだ。今思うとこれがセレッソの今年最後のゴールだったんだな。
勝つ見込みがあったとすれば、この後の数分間に立て続けにゴールを奪う、これしかなかった。そしてそれは叶わなかった。地力に勝るガンバが大勢を建てなおしてからは、またチャンスらしいチャンスさえ生めない状態になった。
3バックにした分守備は安定していたけれど、前にかかる負担は大きくなって、故障明けの柿谷、ルーキーの南野、マーカーにピタリとつかれて苛立っていた杉本の3人では厳しすぎた。扇原もいつものテンポいいパスワークができずで、何度も危険な奪われ方をしていた。
こういう時に戦術的な交代が出来れば、まだ小菊コーチにもテコ入れする余地があったのだけど、残り2枚のカードは、共にガス欠した丸橋、南野に対するパッチに充てられた。
後半35分丸橋→児玉 |
延長後半9分南野→播戸 |
播戸が入った頃には前線は疲弊しきっていた。柿谷がトップ、その下に杉本という本来とはポジションが逆なアンバランスも、柿谷にもはやピッチを走り切る余力がなく、ゴール前でのひらめきに賭けるしか無かったから。
そんな中、セレッソの介錯をしたのは家長だった。因果なものだな。
彼がすばらしいプレーヤーなのはセレッソサポーターなら誰しもが知っていることで、彼に決められたのなら、それはしようがないこと。彼が出てくるシチュエーション、活躍する場を与えてしまったのがいけなかった。
振り返ると、今のチーム力の差がハッキリと出た形になった。悔しいけれど、これが現実だ。ただ、来季のセレッソは、今以上の力をつける余地が多分にある。
柿谷は、ようやく自分の才覚に見合うスコアを出すようになった。山下、横山、そして今日再三いいセーブを見せてくれた(そして、敗戦の責任からか涙を流してくれた)松井は、これまで以上にチームにフィットし、胸を張って戦力と呼べる選手になった。山口螢、扇原はオリンピックを経て一段とたくましくなった。
ルーキーでは吉野、南野が驚くほどのきらめきを見せてくれたし、杉本もヴエルディで何かを見つけて帰ってきてくれた。これにまだシンプリシオが加わり、さらに外国人枠2つが余っている。しっかりと補強をして、各人がそれぞれにレベルアップをすれば、今年のような胃の痛くなるようなシーズンを過ごすことはないはずだ。
それを信じて、今日は眠る。サポーターも必死に戦ったんだから、それは疲れただろうし、まずはゆっくり休んで、次の年、次の一戦に備えよう。ガンバサポーターも、次があるんだから、宴会はほどほどに。それでは。
「脚」の人達はいつまでこんなことを続けるのだろう。
返信削除一度防止策の前に鏡でも立ててみたらどうかと思います。
削除ニューヨークのブロンクス動物園には檻に入った鏡があって、その下に「世界で最も危険な動物」と注釈がしてあるそうです。