12/16/2012

第92回天皇杯 4回戦 C大阪 4vs0 清水 南の空に輝く新星。 #cerezo

得点者

前半24分 南野拓実(C大阪)
後半08分 山口 螢(C大阪)
後半38分 杉本健勇(C大阪)
後半45分+3 村田和哉(C大阪)


いや驚いた。清水のパフォーマンスがよくなかったことを差し引いても、このスコアは出来すぎだし、何よりそのトリガーを引いたのが17歳の青年だということも信じられない。今日のセレッソは南野拓実のチームだった。


スタメンとベンチを見た時、興奮よりも不安が先に立った。そして改めて、この試合例え結果が出なくとも、ピッチの上にいる人間、ピッチの上にいたいと願っていた人間は責められないなと感じた。ヘベルチは退団、レヴィーもシンプリシオもキム・ジンヒョンも「家庭の都合」で帰国してしまった。


そんな時に頼りにしたかった吉野は最近までベッドの上で人工呼吸器をつけている状態で、責任感の強いキャプテン藤本は全治10週間の怪我。頼りのトップスコアラー柿谷さえ、怪我でベンチからも外れてしまった。
 
そんなチーム状態でも、セレッソはセレッソらしく戦ってくれたと思う。サイドバックがガンガン上がるいつもの攻め。酒本の小技の効いた攻め上がりとセンタリングがいい感じ。ポジションチェンジは山口螢以外はほとんどしていなかったけれど、ミスや連携不足は献身的な動きで補っていた。

その先頭に立ったのが、南野だった。


恐らく、小菊コーチの指示はカルフィン・ヨン・ア・ピンに対してプレッシャーを与え、自由にさせないこと、だった。それを完璧にこなしてくれたから、守備陣が不安定だった序盤をしのげたといっても過言ではない。そこでわずかでも時間が稼げるから、後ろの8人はしっかりした2ラインをしくことができた。横山が川崎戦で得た自信を持って守備をしてくれたこともプラス。

「ソフティー」はハードな守備で勝利に貢献

攻撃の起点も南野だった。杉本健勇、扇原貴宏、山口螢、丸橋祐介、ユース育ちの、同じ絵を描ける先輩たちがいたこともプラスになったろう。前半24分に扇原と二人で不恰好ながらも最終ラインを突破すると、体を使って冷静にシュートコースを確保し、正確にそこを射抜いた。あんなシュートが撃てる人間は、セレッソでは古橋か真中くらいだったのではないだろうか。モリシはああいうのは外していたな。

先輩の手荒い祝福

この後もマークしているカルフィン・ヨン・ア・ピンのウラをとるなどしたい放題。ただ攻撃が好き、というだけではなくて、攻守の切り替えが誰よりも早く、そのあたりの献身性はモリシにも似ていると感じた。とにかく、少なくともこの試合に関しては、南野は彼ら偉大な先人としか比べられないような活躍をしてくれた。


清水は活躍を皆に期待されていたはずの高木俊幸、大前元紀にいいボールを入れられなかった。数少ないチャンスではいいシュートを放っていたのだから、そこまでボールを運べなかった中盤から後ろに問題があったのだと思う。サイドバックのウラを突こうと長いナナメのボールを入れていたけれど、それがラインを割るシーンが多かった。


前半、南野のゴールの他には、山本海人の判断ミスからのおしいシーンと扇原のあわやというシュート、清水では大前のいいシュートと松井の判断ミスからの伊藤翔のシュートが各1本、比較的動きが少ない(そしてミスの多い)45分間だった。


なので後半開始しばらくの時点までは、まだ試合の趨勢はわからなかった。清水はひとつ歯車が噛み合えば何かが動き出す予感がしたし、セレッソ側の動きがまだぎこちなかったので、ミスからガタガタと崩れる怖さもあった。

試合が止まると「緊急ミーティング」何度かこんなシーンがあった

後半早い段階で、酒本のクロスから山口螢の追加点が入る。結果的にはこれがよく効いた。2-0というスコア以上に清水側の戦意を削いだし、自信も奪えた。ここから先、清水はらしいパス交換やリズムのいい流れを殆ど作れなかった。

後半34分、枝村→播戸


3点目の杉本健勇のゴールで、勝敗決した形。


杉本は審判のジャッジに苛立つことがあったり、切り替えが遅かったり、まだうまく自分をコントロールできずにいる。けれど、一度自分の間合い、直感的なプレーができるようになれば、とてつもなくいい、ストライカーらしい振る舞いをする。このギャップが少しでも小さくなれば、偉大な先輩、西澤やファンセと同じくらいのスコアが出せるはず。このゴールが転機になれば。

後半42分、杉本→村田

後半44分、扇原→黒木



もう一人、リーグ戦ではくすぶっていた村田がダメのダメを押してくれたのもよかった。


村田は足もあるし、技術も野洲育ちなのだから悪いものではない。サイドでアップダウンさせるだけでは勿体無い。純粋にフォワードとして使えば、相手の穴をうまく突いてくれる。この天皇杯、去年同様の活躍をしてくれればと期待している。


今見返すと、助っ人が抜け、故障者も続出している中で、セレッソを救ってくれたのは、生え抜きで、セレッソを愛してくれている村田や酒本、そして桜色の血が流れる南野、杉本、山口螢、扇原らユース出身の選手たちだった。

茂庭や横山らベテランもミスを出しながら何とか無失点に抑えてくれたし、山下も成長の跡を見せている。ギリギリのところで、こうした育成部門、強化部門の成果が出たことは単なる幸運だけでは片付けられないものだ。



この力は、次の試合でもぜひ見せつけてもらいたい。そう、今年最後の、そして少なくとも向こう1年以上無い大阪ダービーだ。

2005年はリーグ戦優勝をさらわれ、天皇杯では後味の悪い試合になった。2006年は長居でも万博でも悔しい思いをした。しかし再昇格してからはACLラウンド16や今年のホーム開幕戦など、互角以上の結果を残している。

今のセレッソは、今までのセレッソとは違う。ガンバにそう思わせるためには、このダービーこそ絶対に勝たなくてはいけない。


小菊コーチの手腕、想い、そして選手の力に賭ける。

1 件のコメント :

  1. 個人的には移動中の大渋滞で南野J初ゴール(クラブ歴代2位だとか)に間に合わなかったことだけが悔やまれるんですorz

    見えそうで見えなかった「勝ちたいという気持ち」が非常に強かったですね!!
    村田君の復活弾も泣けてきました

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