3/15/2014

2014 J1 第3節 C大阪 4vs1 清水 8の献身、20の意地。 #cerezo #photo

2014年3月15日(土) 15:04キックオフ[ 観客 20,323人 ] 晴れ

得点者

前半15分 丸橋 祐介(C大阪)
前半23分 大前 元紀(PK)(清水)
前半32分 山下 達也(C大阪)
後半42分 ゴイコ カチャル(C大阪)
後半45分+4 杉本 健勇(C大阪)

勝利よりもなによりも、セレッソらしさが戻ってきたこと、それが嬉しい。


スターティングメンバー



システムは4-2-3-1でダブルボランチは長谷川アーリアジャスールと山口蛍。その前には南野拓実、柿谷曜一朗、杉本健勇が並び、ワントップにディエゴ・フォルランが入った。扇原貴宏はベンチスタートになっている。

飛び越す動き


この試合、最初に目についたのは「飛び越す動き」だ。ポポヴィッチ監督になってからはボランチからトップ下に、トップ下から前線にとワンツーでつないだり、出し手とくさびになるため降りてきた選手との小さな受け渡しのような、比較的近い距離でのパス交換が基本になっていた。思い切ったロングパスやサイドチェンジは、あくまで手詰まりになった時のオプションに過ぎなかった。

しかし、この試合では左サイドの丸橋祐介、南野が盛んに上がり、そこにボランチやセンターバックから一気にロングパスを当てるシーンが非常に多かった。相手の清水がワイドで高めの位置取りの3トップを採用していたので、そこをかわせばサイドに残るのはサイドバック一人、そこを狙っていたように思う。

相手のボランチはセンターにいる柿谷や右サイドの杉本、ボランチから攻撃参加する長谷川に引きつけられたために、この局地的な優位性は終始保たれていた。


今日の試合のMOMを選ぶとするならば、まわりが作り出した好機をことごとくモノにした南野か丸橋、どちらかということになると思う。ここで手詰まりになっていたら試合のスコアは大きく変わっていたはずだ。

先制点もセンターバックの山下から長く入ったフィードを丸橋がいい位置で受け、そのままフィニッシュまで持っていったもの。らしい攻撃で、以前からあったセレッソの持ち味がようやく戻ってきたように感じた。


攻守が「やっと」噛み合った


試合はこの得点でようやく目を覚ました攻撃陣が奮起し、セレッソが終始優勢だった。けれど、苦しい時間帯が二つあった。一つはこの後のPKによる失点で、もう一つは後半の立ち上がりの好機を逸し続けたところだ。だがこの二つも何とか守備陣が耐えてくれた。


その軸になったのは山東戦で苦い思いをした山下達也だ。失点から10分後には右サイドからのショートコーナーをドンピシャで合わせて自ら勝ち越しゴールを上げている。守備においてもゴイコ・カチャルとのコンビで清水の攻撃の核、ノヴァコヴィッチを封じた。山東のFW、ワグネル・ラブに仕事をさせてもらえなかった経験をさらなる力に変えた精神力に脱帽する。

後半


後半の立ち上がりの苦しさは、2-1を3-1にする機会を散々に逸してしまったあたりの苛立ち。


左サイドは相変わらずうまく崩せていた。そして中央でも相手ボランチを長谷川、南野、柿谷でサンド、ボールを奪ってショートカウンターという形が多々あった。そのどれもがサイドを深くえぐったり、数的優位でゴール前まで迫る形になっていた。しかし、こちらの攻撃の核、ディエゴ・フォルランが決めきれない。


この日ボランチとして入った長谷川は、右サイドで窮屈にプレーしていた頃よりずっと素晴らしい動きをしていた。守備的な位置取りの山口蛍とはタテの関係を作り、攻撃の起点、守備の最初の砦としての役割を担ってくれた。


いつもより一列下げた柿谷も、周囲を活かす黒子に徹していた。南野と距離が近くなったことで共鳴し、二人ともドリブルの破壊力はかなりのものだった。


そこまで持って行きながら決めきれないこの時間帯は、本当に嫌なものだった。「いつかは決められるだろう」という慢心から失点し、勝ち点を逃してきた試合を何度も見てきた、だから3点目は是が非でも欲しかった。

ポポヴィッチの交代策がここで活きることになる。後半33分にディエゴ・フォルランを下げて扇原貴宏を投入、柿谷、長谷川を一列上げる。これで攻撃陣のダレが引き締まった。


この布陣では全ての選手が得手にしているポジションに入る。疲弊していたはずたけれども、それぞれの動きが今一度激しく、活性化されていく。それが3点目につながった。再びセットプレーからファーの山下がヘッドで合わせ、ゴイコ・カチャルが詰める。



この一点でようやっと清水を仕留めることができた。後はリスクと選手のコンディションをマネジメントすればいい。終了間際に楠神順平、ミッチ・ニコルスを入れ、疲弊し、カードをもらっていた南野、同じく中盤で大車輪の活躍だった柿谷を下げる。



ダメ押しとなる4点目は、同じく山東戦で苦しい経験をした杉本健勇の足から生まれた。


火曜日にはスタンドから罵声を浴び、この試合でもPKを献上、苦しみの中にありながら、右サイドでボールを収めるタスクをコツコツと続けてきた男が、最後の最後に爆発した。柿谷もベンチを飛び出して出迎える。




今までの悪い流れ、膿のようなものが全て出て、期待していたものがようやく萌芽し始めた一戦になった。これでディエゴ・フォルランとの連携が生まれれば、タイトルがどうこうと言えるそれなりのチームと胸をはれる。


苦しみをよく耐えた。ありがとう、おめでとう。

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