12/21/2005

吉田に有難う。

 吉田と古橋がベストイレブンに選ばれた。二人とも在籍年数は短いけれど、実にセレッソらしい選手だと思う。華は無くても、泥だらけになっても、頑張って、汗流して、涙を流して皆に認められる実力をつけるまでになった。

 特に吉田のベストイレブンが嬉しい。川口、楢崎、土肥、都築、曽ヶ端、藤ヶ谷。実力も知名度も有るキーパー達を押しのけて、プロ9年目にして初めてスタメンの座を射止めた吉田が賞を与えられた事は、本当に意味があることだと思う。


 かく言う私も、開幕当初は「なぜ吉田をスタメンで使うのか」と言っていたクチだった。守備陣へのコーチングはともかく、シュートをセーブ出来ない、キックの正確性は無い…。年齢も31と、けして若くは無いから、正直これ以上の進歩は無いと思っていた。


 でも、吉田は違った。よく「メッキがはがれる」選手はいるが、彼の場合は「サビがとれていく」とでもいうのだろうか、とにかく試合を重ねるごとに、眠っていた力を見せはじめた。リーグ戦終盤でも一試合に一度はヒヤヒヤするキックをしていたけれど、「吉田のせいで落とした」試合は影を潜め、「吉田がいたから勝てた」試合が続いた。

 もし吉田と顔を合わせる機会が有れば、「申し訳有りませんでした!」と諸手を着いて謝りたい。三十路を超えたから。もうおじさんだから。私はそうやって自分自身を縛り続けていた。同じような目で、吉田を見ていた。その固定観念を、プレーで、情熱で打ち破ってくれた吉田に、本当に謝りたい。そして、心から「ありがとう」と言いたい。


 人間は一度しか無い。だから、無難に生きる。それもアリだと思う。でも自分の可能性を信じて、チャレンジする。それもいい生き様じゃないだろうか。私のチャレンジはいいものなのか間違っているのかよく判らないけれど、吉田のチャレンジが間違っていない事が判っただけでも、今日はとてもいい一日だった。


 

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