5/03/2009

J2 第12節 湘南1VS0C大阪 決意の差。

前半33分 中村 祐也(湘南)



相手主力2選手の欠場を見て、セレッソが慢心していたとは思わない。今までと同じスタイルで、同じ戦い方をした。その証拠に試合への入り方は実によく、前半30分頃まではパスもよくつながり、シュートシーンも多々あった。私達が日頃胸躍らせながら声援を送っているセレッソの姿だ。ただ今日の湘南は90分を通して集中を切らさなかった。ほんの僅かでもチームに貢献できることを、チーム全員が労を惜しまず行った。この試合は絶対に落とせないという意識を持って試合に臨んだチームの決意、それがこのスコアを生んだのだ。


スタメン、リザーブ。ほぼベストメンバー。ベンチに怪我明けの小松が入り、ダブルボランチは共に攻撃的なマルチネス、濱田の組み合わせ。

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前に書いた通り、セレッソの試合への入り方はベストだった。ポゼッションが高く、相手をよく走らせていたし、きっちりセットプレー、シュート、クロスまで持っていけていた。開始僅かのコーナーキックではファーに流れたボールを江添がヘッドであわせるもバーに嫌われたが、それを悔やまないでいられるほどチャンスが次々とおとずれた。香川、カイオのシュート、濱田のセットプレー、いつゴールが入るのかという気分にさえなった。

しかし物事は上手く進まない。攻撃に傾倒するあまりに守備とのバランスを崩してしまった。攻めあぐねた後にカウンター一撃で決められる最悪の展開。


それでもいつものスタイル、攻めの姿勢を崩さなかったセレッソ。失点も前半のもので、追いつける可能性は十分にあった。しかし湘南はこの1点差リードという立場を最大限に利用し、その可能性を少しずつ少しずつ削り取っていった。レヴィー・クルピと反町康治、二人のサッカー観がそのまま現れた様だった。


後半10分過ぎぐらいから、攻めながらも決め手を欠くセレッソ、全員でしっかり守備を固め、カウンターに活路を見出す湘南という構図がくっきりと出始めた。セレッソの攻撃が最大限に生かされるのはチームに自由闊達なマインドがある時。その発想がプレーの幅を広げ、相手の守備を混乱させる。しかしリードを奪われると「まずは同点」「早く攻めないと」という意識がどうしても芽生えてしまう。パスが長く、雑になる。この試合でもそうだった。こうなるといくら攻めても効果が薄い。

焦りはレヴィー・クルピにもあったろう。いつもより早くカードを切った。江添、酒本を下げ、小松、平島を入れて4-2-2-2と前線の枚数を増やす。

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今期初出場の小松、スペースも時間も無い中、苦しい復帰初戦となった。覚えている限りシュートらしいシュートは0。カイオも故障明けで少しずつ運動量が落ちていた。香川には明らかに焦りがあり、乾のドリブルも湘南のボランチ田村、最終ラインのジャーンを中心にした守備陣に絡め取られる。


残り10分となった頃のセレッソは、最早チームとしての体を失っていた。危険な位置でのボールロスト、攻めの判断ミス、運度量の低下が目立つ。前半あれほど走らせていたはずの湘南の方が一歩目が速い。

そうして僅かに残ったセットプレーやクロスからのチャンスもモノに出来なかったセレッソは今期2敗目を喫し、湘南の後塵を拝すこととなった。今の時点ではまだ甲府の試合が始まっていないが、甲府が勝利すると一気に3位まで落ちる可能性もある。


しかし個人的に言うならば、セレッソには今のスタイルを貫いてほしいと思っている。今日負けたセレッソも、今まで勝ち続けてきたセレッソも、同じレヴィー・クルピの攻撃的フィロソフィーの上に組まれたチーム。今からあれやこれやと小手先の策を弄すよりも、これまで継続してきたスタイルをより鮮明にした方が良いと感じているからだ。次の試合はもう三日後にひかえている。悔やむ時間を、いかに勝つかを考える時間に変えていこう。

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