柿谷曜一朗のスイス、バーゼルへの移籍が決定した。
彼のセレッソでのプレーは、見られても12日の天皇杯と15日のリーグ川崎戦で、しかもマルコ・ペッツァイオリ監督は積極的な起用をしないとの方針だそうだ。ペッツァイオリ監督に託されたのはチーム再建であって、柿谷に対して花道を作ることではないから、至極当然で、支持すべき判断だろう。チームは消化試合が1試合少ないとはいえ降格圏まで勝ち点1差しかなく、新しい戦術をチームに浸透させ、戦える選手を見つけ出すために必死なのだ。
さて、移籍が決まってからの自分の心情を顧みると、やはり俺は「セレッソ大阪」のサポーターのようだ。もちろん、香川真司も、乾貴士も、清武弘嗣も、そして柿谷曜一朗も大好きだ。でもそれは桜の戦士として戦っている彼らが好きなのであって、桜の戦士として巣立っていった彼らを心配しているのであって、彼ら個々人のファン、というわけではないのだ。
だから残酷かもしれないけど、今はセレッソというクラブがどのように生き残って、強いクラブになり、タイトルをとるのか。フロントや強化部、サポーターも含めていいクラブになっていくのか。その心配が頭の中の大半を占めている。あ、あとは女性のこととかね。どちらも難しい。柿谷は放っておいても必ず結果を出すと分かっているから、なおさらそちらばかり気になる。
まず、チームは2億円超とも、3億円とも言われる移籍金を手にする。その代わり、柿谷個人についていたファンのチケット代、飲食費、グッズ購入費を失う、永遠に。その収支がプラスなのかマイナスなのか、どうそろばんをはじいているのかに興味がある。
以前舞洲に行った時は数百人のファンがいたが、半数程度は柿谷個人のファンのようだった。それがそっくりそのままスタジアムの構成比にならないとは思うけれど、観客動員が減ることは容易に想像がつく。そうすればクラブの価値は下がり、スポンサーは離れ、悪いサイクルに入ってしまう。柿谷曜一朗というブランドに依存していたツケを払うと考えれば分かりやすいだろう。
それを食い止め、新しいブランド力をつけ、再びプラスに持っていくためには、チーム力を向上させることは不可避だ。山口蛍や南野拓実、扇原貴宏、杉本健勇たちを新しいアイドルに据えるだけでは、いつまでも今の「育てて、売って、落ち込む」というサイクルから抜け出せない。強いクラブ、スタジアムに来るのが楽しいと感じられるクラブにならなければ、あぶく銭が飛び交うだけのクラブのままだ。それが地力をつけるということだ。
サポーターは、この2年で加わったニューカマーにとって広い間口をとれていたのか、それも気になる。また閑古鳥の鳴く、閑散としたゴール裏にならないように、ゴール裏、スタジアム仲間というコミュニティを作れていただろうか。
こうやって考えると、スイスリーグに挑戦する柿谷曜一朗よりも、彼を送り出すセレッソ大阪のほうがずっと厳しい立場だと分かる。柿谷の移籍が「セレッソバブル」の終わりの始まりにならないように、チームを愛する俺達が出来ることを出来る限りし続けていく。それが柿谷を送り出すということなんだ。
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