彼の志向するシステムありきのやり方も間違いではない。けれど、それが頭にこびりついてしまって、選手は自分らしさを忘れたり、相手のスタイルが変わってきた時に対応できなかったり、戸惑うことが多くなった。ペッツァイオリが結果を出していたドイツの育成年代ではチームを熟成させる時間が多かったはずだが、セレッソではなかなか時間がとれず、どうしても付け焼き刃になってしまう。
川崎戦では、3-4-3のシステムを採用しワイドに攻めてくる相手に対して、コンパクトにするはずの守備がズレてしまい、4-4-2でセットしていたシステムを3-3-3-1に変更するまでの45分間に4失点、悪いパターンがそのまま出てしまった。
この重苦しい空気を変えるには、自分たちがしていることは正しいと感じ取れる「小さな成功」が必要だ。なんでもいい、守備のセットが決まった、相手の出方が変わっても対応できた、攻め方を工夫できるようになった、そんなことが一つでも多くあればいい。それが、相手よりひとつ多くゴールを奪って試合をクローズするための第一歩になるはずだ。
カターレ富山の布陣は3-4-2-1だと聞く、川崎の3-4-3と各ポジションの枚数は同じだ。あれほど攻撃的ではないだろうし、格上の相手に中央を絞ってくる可能性も高い。だから富山は恐らく、自分の攻撃時でも前三枚だけのカウンターに限定し、こちらの攻撃時では5-4-1のような極端に守備的なシステムを、という選択をするだろう。それでも、川崎での敗戦を糧にした「3バック攻略」の糸口にはなるはずだ。
前回成功した3-3-3-1のシステムは、攻めに出ざるを得なかった事情からのギャンブル色が強い布陣だった。だから、もう一度4-2-3-1でスタートし、自分たちのいつものスタイルでどれだけ相手を崩せるかにチャレンジして欲しい。
守備時にどれだけ早く帰陣し、せまい4-4の2ラインをひけるのか。もちろんファーストディフェンダーがボールに早くよせて、相手の3-4-2-1が形になる時間を引き伸ばすことも必要だ。永井龍は川崎戦であまりにも走りすぎた、杉本健勇が同じ仕事をしてくれればと願う。
ダブルボランチは長谷川アーリアジャスールと扇原貴宏と予想した。二人はそれぞれにタイプの違うパス出しができる。扇原の大きな展開、長いくさびのパス。長谷川のトップ下まで上がってのひらめきに、攻撃のカギがあるだろう。守備でも現時点ではこのコンビがベストチョイス。
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