8/03/2014

マルコ・ペッツァイオリは何がしたいのか? #cerezo #photo


勝てない、得点がとれない現実というものがあって、なぜそうなっているのかをずっと考えていた。先ずはマルコ・ペッツァイオリが思考しているサッカーがどんなもので、今はどこがうまく行っていないのかを振り返ってみようと思う。


守備


ペッツァイオリのサッカーは、積極的な前からの守備、高い位置でボールを奪う守備が最もいいとされているようだ。いわゆる「ゲーゲンプレス」もどき、ハイプレスで相手のボールの出どころをおさえてのカウンターがしたいのだ。

このスタイルでは前線であれ、攻撃的な選手であれ、運動量と守備センスが必須になる。だからキム・ソンジュン、平野甲斐が重用され、安藤淳が試され、山口蛍が前に出て、ディエゴ・フォルランが交代になるのだ。


ボールを奪われた時、その瞬間から守備が始まる。前からのプレスで相手ボランチ、センターバックからボールを奪うのが最もいい。それを実現させるため、前線の五人は相手守備陣を個々に捕まえ、攻撃の一手目を抑えこみにかかる。何度も書くがブラジルW杯でのブラジル対ドイツでドイツが三点目を奪った時、あの連動した守備と攻撃が理想だ。


それが出来ない時は後ろに下がってブロックを作る。二列目インナーが前に残って4-4-2のブロックを作ることもあるし、一枚だけ残して4-1-4で守る場合もある。新潟戦では後者だった。


攻撃


守備でも書いたけれども、前からプレスをかけ、ボールを奪い、一気に攻めきるのが理想だ。それが出来ない時は扇原貴宏がボールの供給役になってボールを組み立てることになる。前の五枚と後ろの五枚に分かれ、相手のプレスのかけどころである中盤を一気に駆け抜ける。スピードよくここをやり過ごせば相手の守備を無力化できる。

扇原が攻撃のキーマンになる

問題点


守備でも攻撃でも問題がある、だからこそこの戦績なのだ。

守備では、せっかく前線に守備的な選手を入れているにもかかわらず、前からの連動した守備ができないでいる。奪われた全てのボールにプレスをかけるわけではないので、いざボールを奪われた時に、プレスをかけるかかけないかの判断で一歩目が遅れる。そこを抜けられると前に五枚、後ろに五枚と分けているのが裏目に出て、中盤で相手の攻撃をスローダウンさせられない。練習などで練磨すれば解決する問題なのだろうが、どれほどの時間練習をすれば機能するのか、不安を感じるところだ。

また、このシステムではセンターバックやゴールキーパーの動きや負担が大きい。彼らのミスは失点につながるから(例えば鳥栖戦の失点は広い範囲をカバーしなくてはいけなかったキム・ジンヒョンの判断ミスからだった)相手の速攻を防ぐ手立てを最低一つ作るべきだ。


理想的な守備ができないため、理想的な攻撃もできていない。攻撃の組み立ては扇原の役割だが、その一箇所しかないために相手はプレスをかけやすい。ボランチが上がるかフォワードが下がるかして扇原をおさえにかかる。


これを回避するために扇原はセンターバックの間まで下がる。ボールは落ち着くが前の五枚とボールとの距離がついてしまってうまく攻撃が組み立てられない。サイドバックが上がっているのでそこを起点にしたいけれども、安藤淳はそのタイプではないし、丸橋祐介の左サイドも不調だ。

中盤に人がおらず、無理なパスしか出せなくなる

解決策は?


理想型は分かっている。けれど実践できていない以上、現実を見据えたすり合わせが必要になる。全員が連動するサッカーなので、ある日突然ドンと結果が出るようになるのかもしれない。けれど、それがいつかわからない以上、今どうなっていて、今日はこうしようという、選手やチーム状態を考えたテコ入れをしなければ勝ち点がとれない。

前からのプレスに関してはやっとハマる場面が出だしたので、スイッチを入れた時はこのままで、後はスイッチをかけない時にどれほど相手の攻撃を鈍麻させるかが大事になる。中盤のメンツで最も守備範囲が広くパワフルなのは山口蛍で間違いないから、彼をアンカーに据える形も試してほしい。フィルターとしては扇原よりも格段に力がある。


攻撃ではアンカー以外の起点作り。アンカーを押し下げられた時には両サイドバックが上がり、その後ろにはセンターバックが入る。サイドバックの守備タスクをある程度センターバックとアンカーにまかせて、攻撃を組み立てる裁量をあてがうのも方法だ。酒本憲幸と丸橋は攻撃が組み立てられるサイドバックなのだから、彼らを使わないのはもったいない。

それから、前の五枚、後ろの五枚をリンクさせるために、前の選手も機を見て下がり、ボールを受ける動きを作って欲しい。それは扇原が好んでするスタイルで、他に楠神順平、フォルランもこの動きをする。彼らが二列目で動くことで繋がりが生まれるはずだ。


しかし、現場レベルで全ての問題点が解決したとしても、連戦連勝とはならないだろう。交代選手の質や量の問題があるし、サイド攻撃に特徴が出やすいシステムで、高さという要素が杉本健勇しかないのは辛い。クラブレベルでの補強を最低一枚、できれば高さと強さのフォワードと、中盤でボールが持てる存在がほしい。


つらつらと小言を書いてしまったけれど、いい変化が全く無いわけではないので、これが連続し、加速し、結果が出るレベルまで高まることを期待している。選手起用に関しては積極的な監督なので「開幕から10試合はガマン」などということはないはずだ。

さて、舞洲に出かけよう。次の更新は月曜の夜、関西ステップアップリーグの様子を伝える予定だ。

1 件のコメント :

  1. クルピ監督がジェルマーノを呼んできたようにペッツァイオリ監督のやり方を理解している外国人選手が加われば勝利が見られるかな?と思ってしまいます。

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