5/30/2010

ヤマザキナビスコカップ 第5節 C大阪0VS1仙台 耐えて咲く花。

後半25分 高橋 義希(仙台)


セレッソがこの状況でなお、万全の試合運びをして完勝するようなチームならば、三冠も夢ではないかもしれない。しかし現実として今のセレッソは「まずは残留」のチームなわけで、今までは香川のおかげでリーグ戦では中位に居座れたに過ぎない。それに加えて主力選手の相次ぐ戦線離脱、今は辛抱の時期。

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苦心惨憺の跡が見えるスターティングオーダー。3バックかと思われたが、実際は藤本アンカーのトリプルボランチ。4-3-3の布陣だった。そのボランチの一角には山口、ベンチにも丸橋、山下と若手やチャンスに飢えたプレーヤーが控える。

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試合開始時


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リーグ戦ホーム湘南戦のような流動的なDFライン


4バック、3ボランチとかなり守備的な形であったのと、連戦の疲れから、両チームの攻撃は共に単調で、心躍るようなシーンは殆ど無かった。

これで完璧な堅守だというならば、この退屈もガマンしていられるのだけれど、前半の無失点は個々の局地的な踏ん張りに依存するところが大だった。仙台は経験の浅い山口、出場機会の少ない前田、石神で構成された左サイドを徹底して突いてきた。特にDFラインから山口にボールが入った時のプレスは厳しいものだった。

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山口にボールが入った時には石神は上がり目になっていて、そこでボールをロストすると後ろは前田しかいなくなる。そういう局面が少なくとも2回あった。ただ前田はよく辛抱していた。山口、石神が戻るまで時間を作っていた。さすがに立て続けにこのパターンがあったので山口も簡単にボールをさばくように気を使い出したが、少しいただけない流れだった。


攻撃はかなり重症。ストロングポイントのはずの乾、家長でリズムをつかめず、1トップの小松は慣れない仕事をこなすのが手一杯という状況。

もし山口のところがマルチネスであれば、攻撃のポイントが一つ増えるので前の3人はより攻撃的なプレーができるのだが、前3人と後ろとの乖離が酷く、うまく形が作れない。

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そういうわけで前半の0-0はよい試合のそれではなく、結果としてのスコアレスだった。


レヴィーもホームゲームで勝利を得られない危機感があったのだろう。後半戦はあたまから、ここ2試合で結果を残している4-2-2-2へとシステムを変えてきた。下がったのは前田。藤本が一列下がりCBへ。山口と羽田でボランチを組む。

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後半開始時


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播戸がペアを組むことで、小松の負担が減り、得意な足下でのプレーが観られるようになった。ただしその代償として中盤の守備力が下がり、ボールを奪うゾーンがかなり後ろになってしまった。相手の中盤に対するプレスが弱いので最終ラインには辛いシビアなパスや仕掛けが増えだし、徐々にプレーエリアが後ろへと下がっていく。暑さで走力か失われていったのも弱り目に祟り目という様子。仙台はそれを見越してか早めにカードを切り、運動量の低下を最小限に食い止めていた。それが結果として試合の趨勢を決するポイントになった。

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前半よりはキレの出た小松だったが…。


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藤本はいつもどおり激しいプレーで相手攻撃を封じる。


失点のシーン。相手MF高橋のミドルは、それは見事なものだった。ただし相手がシュートレンジに入っているのにもかかわらず、チェックが刹那遅れてしまった。玉際での激しさが失われてしまった結果の失点ととらえている。


この失点でいよいよ攻めるしかなくなったセレッソは残り2枚の交代枠を一気に使う。右サイドに酒本。山口に代わるボランチにはより攻撃的な丸橋を起用。丸橋は実際はより高い位置でプレーしている。

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後半30分


しかしこの交代もあまり効果的ではなかった。酒本はタテのラインを防がれて右サイドで苦戦。攻撃を期待されたはずの丸橋も劣勢の打開には至らず。時間ばかりが無駄に過ぎていった。苦しい台所事情がモロに出た。


最後にキムの退場に関して。個人的には責められない退場だったと思っている。相手フェルナンジーニョはカウンターからラストパスを受ける際に明らかにオフサイドポジションにいたが、これを流されてしまった。キムはボックスから飛び出し、足で処理する他無かった。足技がウリのフィールドプレーヤーに対して、劣勢の立場のゴールキーパーがどう対応できるだろうか?

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代理のキーパーは藤本だった。


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後半45分+3分


正直なところを言えば、今のセレッソは修正箇所ばかりで、どこをどうしていったらよいのかまるでわからない。外国人トリオが戻ってきてもそれが根本的な解決にはならないだろう。今はただ、この辛苦をリーグ戦での復調に繋げるために、試行錯誤を繰り返していく他無い。

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乾の復調無しにセレッソの復活は無い。


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