5/06/2010

J1 第10節 C大阪2VS1鹿島 セレッソの勝利。

後半22分 香川 真司(C大阪)
後半29分 野沢 拓也(鹿島)
後半32分 アマラウ(C大阪)


この勝利はチームだけのものではなく、クラブだけのものでもない。セレッソを愛し、信じ、尽力し続けた全てのスタッフ、サポーター全員で掴んだ勝利だ。

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スタメンとベンチ。骨折し長期離脱を余儀なくされたマルチネスに代わっては羽田。清武が負傷から復帰しベンチ入り。攻撃陣、最終ラインは現時点でのベストメンバー。

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3年ぶりに観るが、鹿島はやはり上手い。守備にしても攻撃にしても勘所を掴んで離さない。野沢のテクニック、内田の瞬発力、センターバックの堅さが印象に残る。

その中にあってもセレッソはセレッソらしさをよく出していた。興梠、マルキーニョスに対しても茂庭、上本は安定感あるプレー。サイドに追い出す守備が殆どの時間しっかり出来ていた。

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上本は体を張ってFWをブロック


攻撃に関しては2列目の3人が脅威を与える。家長のキープ力、パスワーク。乾のスピード。香川のチャレンジ。2ボランチでこの3枚を見るのは厳しいのかもしれない。

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リンクマンとして、フィニッシャーとして、存在感大の家長


相手の攻撃をブロックし、家長を経由してカウンターを仕掛け、相手ゴール前まで侵攻する。この一連の流れは素晴らしいとしか言いようがない。ないのだが、そこから先、フィニッシュへと繋がるシーンが殆ど無かったのは大いに反省すべきだろう。乾がつかんだセットプレーからアマラウ。右サイドの家長からのクロスをアドリアーノあわせて、こぼれ球に香川。尾亦も絡んだ流れからファーのアドリアーノ。カウンターからアドリアーノの単独突破、そしてシュート。前半でゴールに近いプレーはこの4つくらい(鹿島に対してそれだけのプレーが出来たことを喜ぶべきか、判断に迷う)

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アマラウのフリーキックも壁に絡め取られる


後半、心配なポイントが二つあった。前半のよい流れをゴールに繋げられなかった事で、チームにストレスがかかっていないか。最高気温27℃を記録した過酷な環境の中、心身のスタミナは切れていないか。

不安は怪我人の発生という形で現れてしまった。急激なスットプ&ゴーと無理な体勢でのプレーを繰り返していたアドリアーノの体が悲鳴を上げる。足を故障して自ら交代を要求。急遽小松が投入される。

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後半20分


アクシデントの只中にあっても、守備陣は堅く門を閉ざし、心臓部である香川、乾、家長は冷静に自らのタスクをこなしてくれた。これがセレッソの優位性を揺るぎないものにしてくれた。再三のピンチもキム・ジンヒョンが神がかったセーブ。家長のミドル、アマラウのフリーキックも素晴らしかった。乾のヘッドは僅かに枠外。そして、香川。

香川は前節からのよくない流れをまだ引きずっていたと思う。前半のカウンターでもらしくないパスミスをして頭をかきむしったことがあった。こういう時の香川はプレーのイメージと実像がぶれていて、決まってイライラしている。それでもその流れを自らのゴールで断ち切れたところに、エースの凄味がある。決して素晴らしいチャンスだったわけではない。シュートには十分なスピードと正確なコントロールが必要だった。それでも香川はそれだけのプレーをしてくれた。

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先制!


しかしセレッソは一つのゴールを守りきれるだけの成熟度を持っていなかった。そして鹿島も一つのゴールで試合を投げ出すようなやわなチームではなかった。しっかりと守備ブロックを作っていたにも関わらず、右サイドを巧みに崩されセンタリング。マルキーニョスのヘッドはキムが弾くも野沢が詰めてタイスコア。

せっかく奪ったリードを容易く手放してしまった。相手は試合巧者鹿島。多くのチームであれば、怖気づく流れだろう。だがここは鹿島の鬼門長居。多くのサポーターがセレッソの勝利を渇望し、声を出し、手を叩き、選手を前に前にと押し出していた。

アマラウはそれに加えて負けられない「想い」があった。先輩格のマルチネスが負傷、大事な仲間が同じピッチにいない。彼にメッセージを届けるためには、結果が必要だった。曽ヶ端のスローに、鹿島DF僅かに反応が遅れる。アマラウは体を投げ出してそのボールを奪った。立ち上がって、ミドル。揺れるネットも、集う選手も振り切って、ベンチに駆け込む。通訳白沢だけが、彼の気持ちを汲み取っていた。手渡したユニフォームの背番号は10。このゴールはかけがえの無い仲間へのもの。

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残り12分間。アデイショナルタイムも含めて16分間は、およそセレッソらしからぬプレーが続いた。これほど冷静で、冷酷で、残酷なセレッソを見たことが無い。相手は高さのある大迫を入れて強引に攻め込むも、キムの安定感あふれるプレーがフィニッシュまでの流れを断ち切る。攻めては前線が憎らしいほどのボールキープで時計の針を進める。乾に代わって3シャドーの位置に入った清武も、短い時間ながら持ち味を出していた。

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後半38分


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家長のサディスティックな程のキープ力


鹿島に対する長居不敗記録は、これで11年に伸びた。スタジアムに詰め掛けた全てのプレーヤー、サポーター。試合には駆けつけられなくとも、職場で、自宅で、路傍で勝利を信じ続けた人の気持ちが、王者を倒した。今はそう断言できる。アドリアーノの怪我が不安だが、もし彼に何かあったとしても、今日のセレッソなら乗り越えられるはずだ。

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アマラウがセレッソに仲間入りした瞬間


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