前半36分 ケンペス(C大阪)
後半18分 レアンドロ ドミンゲス(柏)
後半21分 田中 順也(柏)
今、戦術がどうのマッチアップがどうのと言うのは、ちょっと時期違いな感じがしてきた。
ソアレス監督になって、「約束ごとが増えた」とよく耳にする。
こういうシチュエーションの時はこう動く、こういうシチュエーションの時はこう対処する、ポジショニングはここで…。多分そういう感じだと思う。
このやり方は、場面場面によって即効性がある場合と、そうでない場合がある。
例えばセットプレーなのだけれど、これはダービーでの1失点以外はほぼ完璧に防げている。それに相手のセットプレーからのカウンターで得点というのも2点(ダービーの1点目と昨日の試合の1点)ある。
相手のチャンスでもこちらが得点しているのだから、すごいことだ。
その反面、ここ最近キム・ボギョンの強引な突破くらいしか流れの中で得点できていないし、後半失点を重ねるのもお決まりになってきた。昨日も見事なまでにキレイな逆転負けだった。
モニの頑張りに応えたかった |
これは、ソアレスサッカーが完成するためには、非常に高度なアジリティが必要なことを示している。
セットプレーの場合は、両チームともに選手はあまり動かないで、ある程度決まったポジショニングをする。なので、選手個々の動きも非常に分かりやすい。決め事が少ない分スピード感が出る。
一方、流れの中ではシチュエーションが無数にある。22人の選手がピッチの中で動き回っている。その全てを把握し、監督が指示したベストの約束事を都度都度で引き出す、これを90分間続ける。
それが簡単でないのは易く理解ができる。
レヴィー監督が標榜していた『自由』とは、「自分自身が戦局を見て、ベストなプレーを決断する『自由』」だ。
それに対してソアレス監督の『約束事』は「戦局ごとに、ベストだと思われる動きをあらかじめ伝えておいたもの」になる。
自分で決断することと、人から聞いて覚えたことを表現することとでは、考えるスピードが違ってくる。それが今のプレーのもどかしさに繋がっているんだろう。
例えば昨日にしても、後半モニがパンクした時に、セレッソのプレーヤーの全員が「自軍のセンターバックが一人プレー不可能になった場合のポジショニング変更と、プレーの傾向」という引き出しを開けていたか?多分、できていなかった。
普通に考えれば、数的不利なのだからひたすらボール保持をするか、ボールをゴールから遠い位置に置くのが定石だ。
けれどとった選択は「ボールを奪ったらそのまま攻撃に入る」だった。あり得ないことだ。案の定ボールを奪われて、カウンターから失点している。
相手の選手交代後に失点するパターンが多いのも同じ理由。清水戦のように、後半から全く違うタイプの攻め方に切り替えられると、それに合わせた約束事が出てくるまで、PCでいうところの「フリーズ」状態になる。
では勝利するためにはどうすればいいのか?
一番早いのは、ソアレス監督の意思を十分に理解したリーダーがピッチ上にいること。
昔のオランダ代表はトータルフットボールというとんでもない戦術を作り出したが、それを実現するためにはヨハン・クライフというプレーヤーが必要だった。ソアレスが考えたサッカーをピッチの上で的確に表現できるプレーヤーか一人いて、その場で指揮を取れれば、問題は解決する。
ただこれは、「ソアレスサッカーの完成形が素晴らしい効果を発揮するもの」であるここと、「そうであるとプレーヤーが信じている」ことが大前提だ。
いくら良い事を言っても、説得力が無ければ意味が無い。詩の素晴らしさについて、全く同じ事を詩人と蛮族が吐いたとして、蛮族の言うことに納得できる人は、そういないだろう。
今の苦しい状態の中でも、ソアレス監督にカリスマがあれば、そしてそのサッカーを具体化できるプレーヤーが出てくれば、まだ希望の芽はある。
しかし、もしそうでないなら、何かしらの手を打つ必要がある。
それが補強なのか、監督交代なのか、別の策であるのかはわからない。ただ現状を維持していても、事態が悪い方向にしか進まないこと、それだけば事実のように感じる。
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