5/17/2012

清武、オレタチもCityになりたかったよ。 #cerezo

ご存じの方も多いと思うが、2009年までOasisってバンドを組んでいたギャラガー兄弟は、バカの右上に小さく4って数字がつくくらいサッカーバカだ。サッカーバカ4 、バカの4乗。

それを知っていたとあるファンが、Oasisのライブの最前列まで乗り込んで、ユニフォーム姿になったらしい。

「見て見て!私はホントのOasisファンよ。二人がサッカー好きだって知ってるんだから!」

と、アピールしたかったんだろう。でもこの子はギャラガー兄弟にぶん殴られることになった。ユナイテッドのユニフォームを着ていたら、そりゃ仕方がないわな。


マンチェスターにはユナイテッドとシティーという二つのクラブがある。ユナイテッドの栄光の歴史の影で、歴史ばかりでタイトルに縁遠く、貧乏なシティーはいつも困窮していた。2007年にタイのタクシン元首相がオーナーになり、その次の年に裕福なアラブの金持ち達がそれを引き継ぐまでずっと。だからぶん殴られた女の子がそのクラブのことを知らなくたって仕方がないかもしれない。

そのシティーが44年ぶりにトップリーグを制覇した(プレミアリーグは1992年にスタートしたから、プレミアリーグは初制覇)

あれだけお金があって、いい選手をかき集められたんだから、客観的に見れば、当たり前といえば当たり前の結果。それでも、数年前のシティーと同じような境遇のチームをサポートしている人間からすれば、夢のある話だった。



その数日後、ナビスコカップで久々の勝利を味わい、いい気分だった俺は、携帯で清武の移籍を知った。ベンチにも入ってないから何かあるなとは思ったけれど、試合終了直後ってタイミングに恣意的なものを感じずにはいられなかった。


ここ何年かで、セレッソはようやっと、セレッソらしさ、ブランドイメージみたいなものを作ることができるようになった。

若手が次々と現れ、雨後竹林の様相で育つ。チームはそんな若手の活気にあふれている。関西のチームの中では一番ネタ色が強くて、キャンペーンなんかも面白い。そんな感じ。

その一方で、そうして育った若手は、やがてひな鳥が巣立つように、チームを去っていく。こうしたイメージも定着してしまった。


乱暴な書き方をすれば、セレッソはお金がないから、若手や無名の存在を育てるしかJ1で生きる道がない。下部組織に力を入れているのも、監督選びに力を入れているのも、人件費を有効に活用するためだ。

そして同じ理由で、活躍した選手たちに高いサラリーを払うことができず、移籍金を引っ張ることで口に糊している。


選手も選手で、セレッソで活躍すれば、海外にステップアップできるという意識がどこかにあるようになった。清武自身、それを口にしている。

Q その中で、元チームメイトの香川選手だったり、乾選手だったり、いろんな一緒でやってきた選手が海外に移籍されましたけれども、そのへんの刺激というのも多少ありましたか?
A 真司君があれだけすごい活躍をして、家長君も行って、乾君も行って、というのを見てれば、次は僕だなとは自然に思っていました。

サポーターとすれば、いい選手を見られるのは幸せだけれども、選手がイメージしている成功までの階段、その数段分くらいにしか思われていないというのは、悲しいことだ。 オレタチは踏み台じゃない。



シティーが劇的な優勝を果たしたその時、ノエル・ギャラガーは「赤ん坊のように泣いた」そうだ。これをサッカーをよく知らない人が聞けば、微笑ましい話だと思うかもしれない。

違う、そうではない。

ノエル・ギャラガーは生まれてからずっと、我慢を続けてきたのだ。ユナイテッドの後塵を拝し、選手からは踏み台にされ、チームはいつも金が無いと嘆くだけ。そうした状況の中から救い出されれば、それは赤子のように泣くだろうよ。


ああ、俺も早く、赤子のように泣いてみたい。選手を見送る涙ではなく、歓喜の涙をしこたま流してみたい。

香川とも、乾とも、家長とも、その願いはかなわなかった。そして、清武とも。

別に誰が悪いわけではないけれど、やるせないものだよ。


まあ決まったことは仕方がないし、清武の妙に清々しい顔を見たら、止める気にもならない。せめて事業部の人達には「清武が日本で見られるのはココだけですよ!後少しですよ!」と触れ回って、売上を上げてほしいってくらいかな。

 愚痴っぽくなったけれど、これが偽らざる本音なんで、なんとも。すまんね。

7 件のコメント :

  1. サッカージャーナルを通じて読ませていただいております。
    今回の記事に感動しました。
    清武選手の飛躍を望まない人はいないでしょう。
    報道も期待を伝えるものばかりです。
    その中で去られる側の寂しさと去られてしまうチームの切なさが書かれていてとても共感しました。

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    1. 記事呼んでいただけて嬉しいです。
      改めて書きますが、セレッソはステップじゃない。もっと夢があるチームになれるはず。
      そう信じて応援していきます。

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  2. > その数日後、ナビスコカップで久々の勝利を味わい、いい気分だった俺は、携帯で清武の移籍を知った。ベンチにも入ってないから何かあるなとは思ったけれど、試合終了直後ってタイミングに恣意的なものを感じずにはいられなかった。

    恣意的とはキヨに対することでしょうか?セレッソに対することでしょうか?

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    1. 球団全体、ですかね。ケガでもないのにベンチ入りすらない、というのはヘンだと感じてました。

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  3. う〜ん… 出て行くって結果は一緒でも真司、乾とはチョッと違うねぇ、
    私の中では。
    うちでのココまでの結果が満足できる物でない、というのもアル。
    特に今年は、8番背負ってるからねぇ。
    8番背負ってから半年もたってない。

    って感情は正直、否定できない。
    そういう意味で、前述の先輩2人とは次元が違う。


    家長は論外。

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    1. 確かに、今年に関しては活躍して出ていく、という感じではないですね。
      でも2010年、11年とチームに貢献してきたのは確かなんで、その辺り後腐れなくと思います。

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  4. 私も気持ちを代弁してもらったような思いでこのエントリーを読みました
    キヨはキヨで頑張っていたことは十分わかっているんですが
    やっぱりキヨの魂は大分にあるし(それは仕方ないし尊重すべきだと思いますが)
    ガイアじゃないですが「ああっ、俺を踏み台にした?」って気持ちがぬぐい切れずにいます
    契約&手続き上問題ないから、とすっぱり割り切れないウェットさが残ります
    No.8って…ほんと特別だったなぁって今回しみじみ感じました

    キヨには残る2ヶ月もない時間であっても
    魂を受け継ぐ背番号を託された者こそが残すべき実績を残して行ってもらいたいです
    いつまでも脚さんの後塵を拝してばかりじゃ
    北摂在住の私などは日常生活まで異常をきたしそうです!!
    おそらく後に続くであろう若手にこんな調子で思われたくないです
    (五輪出場を決めた時国立でセレッソの旗を振ったタカに男気を感じただけに)

    もう何年も、ノエルの気持ちはほんっとよくわかっていましたから(涙)

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