11/20/2006

新潟2VS2C大阪 これはいい、これはだめ。

 評価が分かれる試合。新潟のサポーターに聞いても、セレッソのサポーターに聞いても、「勝てる試合を勝てなかった」と言うはず。両者ともそのチャンスは確かにあったけれど、結果はドロー。


 セレッソサポーターの立場で観ていると、大久保が少なくとも三度有ったチャンスのどれかを決めていれば、という悔いが残る。特に三度目のゼ・カルロスのクロスに合わせるだけのシュートを外したのは弁護の余地がない。久しぶりの先発となった柿本も、同じく決定機を一度外している。

 その反面、前半から勝負を決めてしまおうという勢いで襲い掛かってきた新潟の攻めを、何とか二失点で止められたのは幸運だった。矢野に許した先制弾は、江添の伸ばした足に当たってコースが変わった不運なものだったが、二点目はほぼノーチャンスだったし、その他では矢野、鈴木の飛び出しを防いだり、エジミウソンとのマッチアップになった前田が、しつこく張り付いてディレイさせていたりと、それなりの形は見えていた。

 収穫はまだある。西澤に対する負担の軽いツートップの布陣が、殆どぶっつけ本番だったにもかかわらずある程度機能し、フィニッシュまでの形ができていた。もう一つ。サイドからボールが入ると、相手のセンターバックのマークがずれやすくなる弱点を突き、それを徹底したり、時間が無く、選手も疲弊したところで、大きな賭けに出ずに確実に勝ち点1を確保したりと、流れの中でも、チーム全体の意識が終始統一されていた。西京極での京都戦ではこの意思統一がなされないまま、みすみす勝ち点3をとり損ねた。ここにきてキチンとリアリスティックな選択が出来るようになったのは、いい傾向だと考える。

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 先発メンバーはアウェイであるにも拘らず、かなり攻撃的だった。左には故障明けのゼ・カルロスが復帰、トップ下には大久保、右サイドが古橋。この前に西澤、柿本と長身のFW2枚が並ぶ。対する新潟も同じく攻撃的な姿勢で、前半から熱い試合展開。


 ホームで絶対の強さを見せる新潟がイニシアチブをとり、決定機、シュート数では圧倒するものの、セレッソもその間隙を縫って好機を演出する。

 いままでのセレッソの攻めのパターンは、まず西澤のキープありき。しかも屈強なセンターバックが揃う中央でのキープが求められていたが、柿本がその役割を補助する事で、西澤は比較的圧力の少ないサイドへ流れて仕事が出来るようになった。大久保が開いたスペースに駆け込むパターンで、一度チャンスを作っている。もしこれで柿本、大久保、古橋という右サイドにもシンクロニシティが生まれれば、攻めの厚みはより増すだろう。この試合前半こそ無得点だったが、それなりの内容だった。


 後半はセレッソも盛り返し、五分五分の展開。セレッソはとにかく両サイドをワイドに使ってクロスで守備を崩しにかかり、一方の新潟はそのボールをカットしてからのカウンターに活路を見出す。チームを活性化させ、サイドへのボールの供給をより正確なものとする為に、名波が登場。

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 西澤の素晴らしい同点弾は、左サイドで起点を作って相手の守備をずらし、その裏を突くというチームの意図通りの得点だった。

 失点の後でも気持ちを切らさず、淡々と同点、逆転の機会を伺えるようになったのもいい。慌ててミスを出さず、バランスをとりながら好機を待つ姿勢は今まで無かった。名波のヘディングゴールなどというレアなシーンを見られたのも、焦って中央にボールを預けず、それまでと同じく冷静にサイドからの崩しに拘った結果。


 さらなる努力を期待したいのはここから。終盤は両チームともに足が止まり消耗戦の様相を呈してきた。ここでこの試合運に見放された大久保を下げて苔口の一手。

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 鈍重になった相手守備陣に対して、スピードが持ち味の苔口投入。誰が見ても意図は明らかなはず。しかし苔口は1対1の勝負を嫌い、ボールを下げるなど消極的なプレーを連発する。仮に一人で攻め上がったとしても、仕掛ければ相手がファウルを犯すかもしれない。そうした脅威を与えるための交代にも関わらず、チャレンジするシーンが見られなかったのは残念だった。さらに追い討ちをかけるように古橋も限界に達し、攻めのベクトルが急激に衰退していく。

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 新潟も攻めの核になっていたファビーニョが疲弊して下がり、試合は膠着。結局その状態を脱する事無くタイムアップとなった。


 完全アウェイの新潟で引き分け、最低限の仕事はこなした。順位も後半戦では初の16位、得失点差も実質福岡と並び、残留争いで優位な立場にたった。だが、まだその地位は磐石ではない。次節名古屋戦で勝利し、当面のライバルチーム達の戦意を削ぐ事が、次のミッションになる。

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