11/12/2006

C大阪2VS3磐田 雨中会戦。

 雨に濡れたスタジアム。ポンチョを着ていても身体はどんどん重くなっていく。ピッチも水を含み、スリッピー。プロの選手とはいえ、思ったようなプレーは出来ない状態だった。そんな時は、気持ちなんだと思う。特に良くも悪くも気分屋な、セレッソの選手達にとっては。

 前にいこう、勝ちにいこう、そういう気持ちが出ている時はいいけれど、下を向くと何もかもダメになる。それを判っていたから、いつにも増して、声をからし、鼓舞したつもりだったけれど、伝わりきらなかった。

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 スタメン予想は100%当たったけれど、布陣に関してはハズレ。前線は西澤一枚。いつもの3-6-1の布陣をベースに、メンバーを入れ替えただけのマイナーチェンジに留まった。

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 対する磐田は序盤、3バックの両サイドを丹念に突く作戦に出た。これが見事にはまってしまう。ダブルボランチの連携も悪いので、トップ、両サイド、トップ下の四人のうち、必ず誰かがフリーになる。サイドからグラウンダーのボールが入ると、混乱はより大きいものになった。立て続けの2失点。前半15分の時点であまりに重いハンデをつけられる。


 今までなら、そこで試合は終わっていたと思う。しかし残り5試合、一つも落とせないという状況がそうさせるのか、それともチームの中に強いメンタルが生まれ始めているのか、ここから怒涛の反撃が始まった。

 とはいえ、失点の前後で、何か劇的な変化があったわけではない(さすがに中盤の守備に多少の修正が有ったが)。ただ愚直に、労を惜しまず、チャレンジを繰り返す。それだけの事だった。雨で足をとられても、競り合いで相手と交錯しても、ひたすら全力で、前に、前に。

 大久保のミドルも、下村の同点弾も、いいゴールだった。テクニックや連携といった要素もさる事ながら、果敢なチャレンジから生まれた事に、意義を感じた。前半で追いつけたのも大きかった。


 後半もいい流れはそのまま、試合を支配し続けたセレッソは、逆転を狙って攻め続けた。下村がボールを左右にはたく、河村がオーバーラップをかける、大久保がドリブルで切り込む。徳重も前半より守備に忙殺される事なく持ち味を生かしていた。


 その歯車が狂い始めたのは、ピンゴの負傷からだった。どうも足を痛めたらしい。代わって名波という選択は妥当だったと思ったのだが…。

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 名波という大きな存在が出来た事で、今まで11人が平等に汗をかいていたチームが、名波を中心としたチームに変化していったように感じた。他の10人のチャレンジングスピリッツが少しずつ削がれていき、逆に名波には多大な期待がかけられることになった。それはアンバランスな光景だった。

 セレッソのコーナーキックから始まった磐田のカウンター、疾駆する磐田の選手を追うセレッソの選手は、一人か二人程度しかいなかった。もし彼等が勤勉な労働者のままであったなら、果たしてそれほどまでに淡白な守備をしただろうか。


 それからの交代は、あまり評価出来ない。やっとトップとして開花し始めた苔口のサイド起用は明らかにミスキャスト。他に候補が怪我持ちのゼ・カルロスしかいなかったから、という言い訳は聴けない。そういうベンチメンバーを組んだのが他ならぬ監督自身なのだから。

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 柿本をターゲットとして入れるのも、何度も試されて、その度に失敗した交代。

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 大久保や名波にボールを落とす、それだけの役割を求めるのであれば、ブルーノでも事足りたのではなかったか。柿本は体躯に似合わず足元、スペースに入るプレーに持ち味が有る選手だ。


 さすがにここまで来ると、心も折れてきたのか、一つ一つのプレーが雑になり始め、ボールを前線に入れることさえ困難になってきていた。ロスタイム4分も有効に活用できず、9/23アウェイ福岡戦以来の敗戦となった。

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 「ボトム3」の他の2チームも勝利できず、混戦状態なのは変わらない。それが救いと言えば救いか。次節以降も胃の痛む試合が続くが、あと4試合という実状を考えれば、これ以上の施策はダッチロールになりかねない。今日この試合で見せてくれた、精神力を前面に出したプレー。これを忘れず続けていけば、まだ光明はある。そう信じている。

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