「勝てたかも知れない?」
と聞かれれば、
「そうだったかもね」
としか答えられないし
「負けてたかもね」
と言われれば
「そうだよね」
としか言えない。微妙な試合だった。実験色の強いメンバー、相手もベストメンバーではない。流れの中からの失点は無かったけれど、守備が良かったわけではないし、ゲームスタッツではシュートを15本も打っているけれど、御世辞にもゲームを支配していたとは言い難いし…。
その「実験的な」スタメンはこちら。
ピンゴと古橋の並びは固定されたものではなく、逆の時間帯も多かった。また右の河村と左のゼ・カルロスは攻撃時にはこの位置まで上がっているが、ボールを奪われるとバックラインまで戻って5バックになっていた。
この実験、結果としては成功だったと思う。柿本は思っていたよりもよくボールに絡んでいたし、ポストだけでなくラインのウラを突く動きも見せた。その柿本と古橋へいいボールを供給していたのは初の2列目となったピンゴで、ゼ・カルロスとのコンビプレー、パスワークなどで攻撃のアクセントになっていた。
もちろん攻撃が左一辺倒になってしまったり、連携が上手くいかなかったりといった場面も有ったが、名古屋の見事なセットプレーで失点するまで、流れはセレッソが掴めていた。
課題は失点してから明らかになった。リードされると素人目に見ても運動量が落ち、前半が終わるまでの10数分間、試合を完全に支配されてしまったのだ。
これは明らかにメンタル面の問題であるのだけれど、ピッチにいたどの選手もリーダーシップをとれなかった、という点ではチーム編成の問題と言えなくも無い。古橋のキャプテンシーに疑問を持っている人がいるのはこの辺りを見ているのだろう。
結局この流れはハーフタイムによって断ち切られ、後半の早い時間に古橋の泥臭い同点ゴールが決まると完全に払拭されたのだが、あのリードされる度に生まれるなんともいえない時間帯は何とかならないものだろうか。今年あの時間帯にどれほど失点をしてしまったか知れない(ダービーでは失点→運動量が落ちる→失点を何度も繰り返していたし)。
さて、それでは同点になったことでセレッソが快適に試合を支配できたかと言うと、そうではなかった。それは次の課題の為。
前述のように両サイド(河村、ゼ・カルロス)は守備時にはバックラインまで下がり、攻撃時には通常の位置まで上がる、これをひたすら繰り返していた。二人ともこれを90分間続けられる程のスタミナは無い(というかそれが出来る人間の方が少ないだろう)。結果として同点直後から徐々に動きが緩慢になり、そこからボールポゼッションが上がらない悪癖が出てきた。
別にセレッソの選手が皆スタミナ不足というわけではない。山田、下村辺りは90分間活発だったし、交代で出てきた酒本もアグレッシブだった(後はクロスの精度だけなのだけれど…)。
60min
71min
しかし自ら「動く」のと敵のボール回しに「動かされる」のでは体力の消耗度が違う。後半30分過ぎからはボールを保持できないから消耗し、消耗しているから奪ったボールをゴール前まで運べないという負の連鎖が発生。結局決め手を欠いたまま、タイムアップとなった。
今日はまず守備から、という意識がはっきりしていて、途中まではそれを忠実に守れていた。リードされても同点に追いつけた。柿本の奮起、ピンゴが生きる位置の発見など収穫がたくさん有った。それは評価していいと思う。ただまだいくつかの悪癖は放置されたまま残っている。その悪癖を福岡戦までにどう修正するのか、それが今後のポイントになるだろう。そこがビビットになった事が、今日最大の収穫なのかもしれない。
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