4/02/2006
C大阪2VS3甲府 長居の桜は血の匂い。
審判がああだとか、特定の選手がどうだとか、監督の采配がこうだとか、一つ一つ論じる気になれない。とにかくスコア以上に完敗だった。味方から見ていても不可解なPKまでもらって、一時は1-3まで差をつけられた、言い訳はできない。
スタメンは変らず。連勝しているのだから無理に変える道理は無い。ただ1週間で3試合をこなしてきただけあって、試合開始直後は両チームとも動きが悪い。競馬で馬の反応が鈍い事を「ズブい」と表現する事が有るが、そんな表現がピッタリ来る感じ。ボールが選手の間をピンボールのように行き来する退屈な立ち上がり。
そんな中でイニシアチブを取ったのは甲府。3人の中盤を経由して素早くサイドへ、ピッチをとにかく広く使って、相手のDFの密度を低くさせる。
セレッソがこのパターンにはまったのは、一つに中盤の守備の稚拙さが有る。下村-ピンゴ-森島寛-古橋のブロックで中盤を制圧していれば、DFラインが広く低くなる事も無かったのだが、そこで上手くボールが奪えない。
勿論攻撃にもこの弊害は出ていて、ここが機能しないので厚みのある攻めが出来ない。酒本、ゼ・カルロスが好調で何とかそれらしい形にはなるのだが、フィニッシュの精度が悪く迫力が無い。一見打ち合いのようで、流れとしては甲府の望んでいた形だった。
だから3バックのズレを突かれて失点をした時も、驚きや失望は無かった。こういう事も有るだろうなという、そんな気持ちだった。
むしろ驚いたのは前半ロスタイムのPK。セレサポから見ても不可思議な判定だったのだから、甲府サポの心中察するものがある。しかし勝負事に遠慮はいらない。ゼ・カルロスが危なげ無く決めて同点。そのまま前半を終える。
もしセレッソが後半開始早々の攻めでリードを奪えたなら。ほんの僅かシュートコースが変って、バーに弾かれる事が無ければ、前半のPKも絡めて流れはこちらに傾いていたかもしれない。しかし現実はまだタイスコアで、むしろ命拾いした甲府の方が、その後ぐっとスピードアップしていった。
スピード、物理的なスピードもそうなのだけれど、甲府のプレーヤーはシンキングスピードが速かった。場面場面でどうすべきかを知っていた。そして何より積極的にシュートを打っていった。単純なシュート数はセレッソ12本、甲府10本なのだけれど、崩して打ったシーンは圧倒的に甲府だった。
ゼ・カルロスの何気ない小さなミスを逃さなかった2点目。高速カウンターで左サイドをえぐった時、サボらずに空いたバイタルエリアに走りこみ、見事なミドルを決めてみせた3点目。倉貫の2点は賞賛されるべきクオリティを持っていた。2点目を失ってから3分後、ようやく好調の山田が投入されたが、もう少し交代が早ければというのがこの試合もう一つの「If」。
山田はそんなアゲインストの流れの中、よく頑張っていた。ばてかけていた酒本のフォロー、中盤でのビルドアップ、守備では要所要所に顔を出し、獅子奮迅の働き。ショートカウンターから西澤が1点差に詰め寄るゴールを決めたのも偶然ではない。
さらに流れを加速すべく森島寛→徳重。
しかし、これだけ攻撃的な選手を入れ、時折ブルーノまで参加して攻勢をかけても、セレッソは完全に試合を掌握しきれない。
理由ははっきりしている。失敗を恐れる意識がプレーを萎縮させ、想像力を奪ったのだ。この試合何度「お前が打て!」と叫んだだろう。皆外す事を嫌って、そのシュートさえ打てない。特に古橋、森島寛、ゼ・カルロス辺りはもっとガンガン打っていっていい。多少ボックスから離れていても、常にシュートをプライオリティの最上位に持っていくべきだ。サッカーは芸術点や合わせ技の無い、単純に得点が多い方が勝つゲームなのだから。パワープレー要員に柿本を入れたが、あわやというシーンは生まれなかった。
それに加え、試合終盤には観たくないシーンが続いた。雑なプレー、乱闘寸前のもみ合い。確かに甲府の露骨な時間稼ぎや不可解な判定でイラつくのは理解できる。ただそうしたところでチームにいい事は一つも無い。リベンジをするなら勝つ事、得点する事に集中した方がいい。奪えたのが古橋、ブルーノへのイエローカード2枚というのは、あまりに寂しい。
観客が6282人と、好天の週末にしては寒いスタジアムだったが、こんな内容の試合を続けていたら、長居第二すら閑古鳥という事態にもなりかねない。どんな些細なことでも良いから、とにかく勝つ為の努力をしてほしい。
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