11/29/2004

新潟1VS2C大阪 大脱走。

 今日のセレッソは、今までのセレッソとは全く別物の「戦う集団」になっていました。約1名いつも通りの人もいましたけれど。

 スタメン布陣は予想通り。久藤、布部は怪我をおしての強行出場。久藤のテーピングでがちがちに固められた足が痛々しかった。

新潟戦スタメン


 そして何より4万人のサポーターの大歓声!!新潟も勝利すれば最大3位まで順位を上げられる可能性があり、しかも震災後のビッグスワンでは負け無し。試合開始前には「これは引き分けすら難しいかも」という感覚に陥りました。

 しかし、前半立ち上がりのイニシアチブはセレッソ。懸念されていたサイド攻撃は酒本、古橋の両翼が完全に勝利。特に酒本は守備でも貢献し、一年間の成長を見せ付ける形になりました。「ミナツモのフィーゴ」なんて言われていましたけれど、なんのなんの。少なくとも「浪花のフィーゴ」ぐらいの活躍はしていました。


 ただ、守備はメンツが変わったからか終始不安定でした。上野、エジミウソンに裏を取られる場面も有りました。キーパーが伊藤でなければ、シュートの精度が良ければ、勝負事にIFは禁句ですが、今思うと本当に助かったシーンでした。


 両サイドを駆け上がる古橋、酒本のクロスを防ごうと新潟のディフェンスが付きますが、コーナーキックに逃げるのがやっと。反町監督からすればセレッソのセットプレイの精度の無さを読んでの指示が有ったのかも知れません。

 35分、この日何度目のコーナーだったか。右サイドからのコーナーキックに西澤がファーへと移動。しかしこれはフェイク。ボールは低い弾道でニアへ、そこに合わせる影が一つ。新潟のマークを振り切ったのは、今日一番ゴールに飢えていた男、大久保。ヘディングシュートがゴールネットに突き刺さります。1-0、待ちに待った先制点。

 ゴールも嬉しいものでしたが、より嬉しかったのはこの点でひきこもる事無く、さらにアグレッシブなプレーを続けてくれたこと。テレビ画面で見ていると、いったい何人の選手がピッチにいるのか、と感じるほど分厚い攻撃を見せていました。


 結局1点リードで後半戦へ。両チーム交代は無し。しかしここで新潟は布部に狙いを集中。タテへの攻撃参加、パスが無いと判ると、布部にボールが収まった時には2、3人のプレーヤーがチェックに駆けつけ、横パスは全て読まれてカット。新潟の攻撃の起点は皮肉にもことごとく布部からでした。

 そして、失点の起点もハーフウェーライン辺りでボールを持った布部の軽率なキープからでした。囲まれ、奪われたボールは素早くエジミウソンへ、高速ドリブルは、止められない。素晴らしいシュートが低い弾道でゴールに。同点…。


 ここで小林監督は布部を切り、苔口を投入。古橋をセンターに置き、久藤ワンボランチというリスク覚悟の攻撃的交代。完全に勝負に出ました。

新潟戦  苔口投入


 久藤はワンボランチになっても、怪我を押してフル回転。守備の要として、攻撃の起点として精力的に動いていました。連敗中の久藤とは全く違うプレーが、セレッソのチーム力をワンランク上げたように思います。

 交代した苔口もスピードある攻撃で左サイドを侵食。酒本も前半と同じく精力的な働き。どれだけスタミナが有るのか、という貢献を見せます。

 攻撃陣の分厚い組織的プレーと伊藤の素晴らしいセービングによって、同点になった際の新潟ペースの攻撃も僅かの時間でやり過ごす事が出来ました。


 小林監督の次の一手は森島を下げて徳重。そのままトップ下へ。2トップ、2シャドーに両翼からの攻撃も加わってまさに攻めダルマ状態。しかし、シュートまで行けない。守備陣の体を張ってのディフェンスに、攻め手を封じられていきます。

新潟戦 徳重投入


 残り時間5分。もうダメか…。必死の攻撃は、しかし、奇跡を呼びます。ボールを持った大久保はペナルティエリアで相手を振り切ろうとドリブル。倒されても、諦めずボールを追います。放たれた折り返しを新潟ディフェンスがハンド、PK。

 キッカーは志願した大久保。心なしかいつもより神経質な面持ちでボールをセット。相手キーパーは横浜戦でPKを止めている野澤。大久保のキックは、4年間の想いを込めてゴール右サイドへ。野澤も右と読んでいました。それでも大久保の渾身のシュートは野澤の手から僅か数センチ先を通過し、ゴール。勝ち越し!


 この一点さえあれば、後はボールキープ。清水戦のリプレイを見るように、大久保、古橋、苔口がボールを相手陣内でキープ。ロスタイムの3分間がやけに長く感じられましたが、ついに勝利の笛。この瞬間、ベンチに柏引き分けの一報が。残留の報を聞き、歓喜がチームを包みました。


 この試合のMOMは間違いなく大久保です。しかし、伊藤も、久藤も、酒本も、古橋も、西澤も、みんなが今年一番のポテンシャルでした。今年の苦しい一年間を最高のプレーで締めくくってくれたセレッソに感謝します。



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