11/18/2004

"黒審"

という言葉をご存知でしょうか?2002年韓日ワールドカップでの韓国戦で見られた数々の不正な、あるいはそう取られてもおかしくないジャッジを中国のサッカーファンはこう形容したのです。「黒」という単語は英語同様あまり良くない意味が込められています。


 その中国は、日本で我らが代表がシンガポール代表相手にふがいない試合を演じた夜。W杯アジア一次予選最終節で香港代表をホームに迎え、7-0というスコアで破りました。

 ところが同時刻に行われていた同組のもう一試合、クウェート対マレーシア戦で、クウェートが6-1と圧勝した為、総得点僅か1の差で、中国は早々にワールドカップ本戦への道を断たれてしまいました。

 中国国内のメディアはこぞって「アジアカップを事実上制したはずの代表が、どうしてこんな所で敗れてしまったのか」と書きたてているそうです。


 この中国対香港戦は当初から「黒審が有るのでは」と言われていた試合でした。事実クウェートに対してビハインドの立場であるはずの中国国内では、最終節直前にあっても楽観論が大勢を占めていました。香港は中国にとって最も「政治的圧力」を掛けやすい存在だったからです。中にはおおっぴらに「香港は母国のために敗れるべき」と論じたメディアも有ったそうです。

 さすがに無視できなくなったのか、AFCとFIFAはこの試合に「黒審」が無いか調査を行う事を公表しました。しかしそれでも「黒審」は起こりました。

 香港代表は近年を見ても、中国、日本などと接戦を演じ、敗れこそすれ、それは僅差でのものでした。ホームのアドバンテージが有ったにせよ、7-0というスコアに猜疑心が向けられるのはむしろ当然のことです。


 中国にとってみれば、サッカーなど「国威高揚の為の一手段」にすぎないのかも知れません。また中国に限らず、世界中の様々な国が、「黒審」を行ってきました。30年代のイタリア、78年のアルゼンチン、ユーロ2000でのオランダ。今回ほどあからさまな物は稀有ですが、これらの国では明らかに「黒審」が行われていました。


 本来これらを取り締まるべきはFIFAなのですが、FIFA自体が繰り返される内部抗争の為に正常に機能せず、事実上黙認してしまっているのが実状です。


 もしサッカーに憧れ、プレーを始めた子供達が、このあまりにも悲しい現実を知ってしまったら、その子達はそれでもサッカーを続けてくれるでしょうか。フェアプレーの精神はピッチ上だけではなく、サッカーにかかわる全てのシーンで厳守されるべきものなのです。



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