5/02/2005

鄭夢準の狙いは?

スポーツナビ

6月の北朝鮮-日本戦は第3国無観客で=国際サッカー連盟、北朝鮮に重い処分

 国際サッカー連盟(FIFA)は29日、チューリヒで規律委員会を開き、ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の北朝鮮-イラン戦(3月30日、平壌)で観客が暴徒化するなどの混乱が生じた問題で、北朝鮮に対し、ホーム主催試合の開催権はく奪と観客の入場禁止処分という重い処分を決定した。これにより、北朝鮮で次に予定されていた同最終予選の北朝鮮-日本戦(6月8日)は第3国の中立地で無観客で実施されることが決まった。


 川渕キャプテンは「予想よりも重い処分」というコメントを残していますが、ごく普通の裁定だと思いますよ。

 例えば平壌で無観客試合をやったところでスタジアムの外で何されるか判ったものではないし、第三国でも「前科持ち」のレッテルを貼られた北朝鮮サポーターがやってくる可能性が有ります。

 別に北朝鮮のサポーターは「北朝鮮に住んでいる」人間ばかりではありません。国外にも北朝鮮籍の人が沢山いますよね。実際最終予選第一戦のサポーターは殆どが朝鮮総連の呼びかけで集まった在日の方達でしたし。

 普段ならそれも「あり」なんですけれどもね。日本だって外国で試合をする際に現地の邦人がやってくるわけですから。でも今回は特別。そういう人達の事も考えればどこでやっても「無観客試合」でないと危ない。


 北朝鮮側から抗議と上告が有ったようですが、自国にマイナスになる裁定が下って「ああそうですか」という国は無いですから、これも当たり前と言えば当たり前。


 ところがややこしい人間が横槍を入れてきました。FIFA副会長の一人、鄭夢準韓国サッカー協会会長です。

鄭夢準.jpg


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北朝鮮の上訴を支援 鄭夢準FIFA副会長

 【ソウル1日共同】国際サッカー連盟(FIFA)副会長でもある韓国サッカー協会の鄭夢準会長は1日、アジア最終予選の北朝鮮-日本が第三国での無観客試合となったことについて、北朝鮮の上訴を支援する意向を明らかにした。
 聯合ニュースによると、鄭会長は「3日以内に異議申し立てができるため、いろいろなチャンネルを通じて北(北朝鮮)が上訴できるように勧告する考えだ」と述べた。
 同会長は「北に対する処分は予想外に厳しい」との見方を示し
「FIFAとアジア・サッカー連盟(AFC)の幹部に、北の立場が反映されるように最善を尽くす」と語った。


 いつもなら勝手に言って頂いてもかまわんのですが、最初はさすがに今回の件は酷いだろと思いました。「反映されるべき北の立場」とは何なのか、そしてどういう裁定なら妥当なのか。細かい所までは窺い知れないのですが、明らかに試合を開催出来るだけの能力の無い国家を擁護するのはどういうわけか?


 いろいろと考えたのですが、この行動の動機は、恐らく政治色の強いものだと思います。

 FIFAの規律委員会というのは厳格な組織で、上告した所で裁定が覆る事は稀なのだそうです。そこに助け舟を出すというのは、あまり利発な発想とは言えません。

 そこをあえて突いてくるのは、鄭夢準氏の北に対するパフォーマンスなのでは?と思っています。

 万が一にも氏の圧力で裁定を捻じ曲げられれば儲けものだし。棄却された所で、「同じ民族として北朝鮮を擁護した」という事実は残ります。これは北朝鮮に対するカードになる。一銭もお金を使わず、ただ発言し、アドバイスを加えるだけで「借り」を一つ作れるのですから、これほど楽な事は無い。


 そう読むと第三国開催、無観客試合の裁定が押しつぶされる可能性は低いはずです。まあ私が予想しているよりも朝鮮民族の方達の日本憎しの感情が強く、少しでも日本が不利になるように全精力を傾けてくるというのであれば話は別なんですが。氏の今までの行動を考えるとその線は薄いように感じます。


 例えば02年のW杯で「疑惑の快進撃」を続けた韓国代表は、準決勝でドイツに敗れました。確かにドイツが慎重にゲームをコントロールしていたので「誤審」が起き難い状態ではありましたが、無理をすれば何かできたはずです。でもそんな事は起きなかった。

 それは氏の狙いが「民族の誇り」なんてものではなく「興業の成功」に有ったからです。決勝に進んだ所で開催地は横浜。日本にお金が落ちるわけです。一方3位決定戦は韓国で行われますが、韓国での試合は韓国代表戦以外は閑古鳥状態。韓国サッカー協会としては代表に3位決定戦に回ってほしかった(そして少しでも収入を得たかった)わけです。


 そういうわけで、今回この件に関して、私は比較的楽観視しています。FIFAが健全な団体であるなどという妄想を持っているわけではなく、逆にそういう組織であると知っているからこその楽観視なわけです。




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