6/18/2005

メキシコ2VS1日本 最良の敗戦。

 いつもは試合を観た直後に書き始めるのだけれど、さすがに昨日は寝ました。

 起きてから出来る限り雑音をシャットアウトして書きたかったのですが、運悪く(?)湯浅御大の爆発的なフリーライティングをかっくらってしまいました。いつもとちょっと違う感じになりますが、ご容赦下さい。


 試合が終わった時の第一印象は「うん、今はこのくらいじゃない?」というものでした。確かに負けたら悔しいです。でも昨日の日本は何かを得て負けたように感じましたので。


 メキシコは以前から「日本が強くなる為に最もお手本になるチーム」と思ってました。とんでもない身体能力が有るわけでもないのですが、ショートパスと運動量をベースに、サイドチェンジやドリブルをアクセントにした、創造性で相手を崩していくサッカー。

 今の日本もかなり大雑把にカテゴライズすれば同タイプのサッカーをしています。こういう「喧嘩四つ」の場合はレベルが上のチームが試合を圧倒するものなんですが、以外に通用する部分が多かった。特に前半の柳沢がスペースを生み、中田、中村、小笠原がそこに絡んでいくスタイルは結構観ていて期待感が有った。まあその前に見たのがユースのベナン戦ということもあっての印象だったのかも知れませんが。


 先制点も相手を崩す小笠原のパスと加地の素晴らしいクロス、そこに柳沢のフィニッシャーとしてのテクニックが結びついた良いゴールでした。こういうゴールが生まれるようになったのは正直に嬉しいものです。

 その後もメキシコのたまに有る不用意な横パスをカットしてショートカウンターを仕掛けるシーンが有ったりして、前半の中盤くらいは本当に日本のペースで試合が出来ていました。


 ただメキシコと日本ではくぐって来た修羅場の数が違うわけで、こうした劣勢を耐える方法、挽回する為の引出しの多さが比べ物にならない。

 同点弾のジーニャのミドルがあまりに美しくて記憶から消えそうになってしまいそうですが、それ以外にもメキシコは実に様々な方法で日本を崩しにかかっていました。ボルゲッティの高さだとか、中盤でのリズムの細かい転調だとか。その度に日本は応対に追われる事になります。

 その場は何とか凌いでいましたが、結果後半体力の落ちた日本は細かいミスを頻発させて、流れをメキシコに明け渡してしまった。地味なボディブローを細かく当てられて足が止まったボクサーのように。


 ただ日本も日本なりに引出しを作ろうという試みが有った。万全ではなかった中村を下げたのは例外として、大黒と柳沢の2トップで前線の運動量を増やしてみたり、センターバックを一枚下げて攻撃に厚みを持たせようとしたり、選手間が間延びしていた終盤にドリブルが持ち味の玉田を入れてみたりと、明確な意図を持った選手起用をしていた。

 どれも結果的には特効薬ではなかったわけですが、こうした試み一つ一つがチームの財産になると思っているので、事ここに関しては素直に評価。「試み」れば、例えそれが失敗であったとしても、最低「次からこのオプションは使えない」という経験になるんですから。


 戦前ジーコは「全て勝ちにいく」と言っていましたが、それが不安でも有りました。確かに結果は欲しい。でも既にワールドカップ本戦出場という最低限のノルマは達成できたわけで、ここではさらに上の結果を本戦で残せるような戦いをして欲しかった。具体的に言うのであれば勝敗はどうあれ予選と同じ戦い方で試合に臨み、何処が良い部分なのか、何処が修正すべき点なのかを確認して欲しかった。

 その意味で冒頭の感想に繋がるわけです。スポナビに選手のコメントが残っていますが、やはりそういう「世界との距離感」の確認した選手が多いようです。この皮膚感覚はなかなか味わえないもの、しっかりと刻み付けて本戦での糧にしてもらえれば、この惜敗にも納得ができます。





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