6/22/2005

キャッチボールからリフティングへ。

 生まれて初めて、親という立場で授業参観に行った。子供の頃「来られる側」だった時は「ええかっこ」がしたかったので過剰に力が入っていたのと、先生も妙に余所行きだったのを覚えているが、「来る側」としても授業参観はややこしい。


 まず「来られる側」の心理が判っているので、子供に無駄なプレッシャーを与えたく無い。だから、出来るだけ子供が意識しない、それでいて我が子が良く見えるポジションを確保したいということになる。ところがそういう場所は限られているので位置取りからして難しいのだ。

 さらに今回は「親子体操」なるプログラムが組まれていた。親子のスキンシップをはかりながらいい汗をかきませんか、という意図なのだろうけれど、まだ小さな我が子に全力で向うわけにはいかないので、力加減がやたらと難しい。

 一番難しかったのが「キャッチボール」、タオルを何度も結んで柔らかいボールを作り、それでキャッチボールをするのだが、これが上手くいかない。どれだけ緩やかなボールを投げても子供がキャッチできないのだ。

 一瞬我が子の動体視力を疑ったのだが、他の子を見ても、私が子供の頃と比べて格段に「投げる」「捕る」という動作が下手だった。


 思い返すと私は子供の頃大の野球少年だった。旧制高校、帝国大学の野球部でならした祖父を相手に、ヒマが有ればキャッチボールをしていた。阪急の山田のマネをしてアンダースローもしていたし、スライダーとサークルチェンジぐらいはマスターしていた。

 ただ私が特別な存在だったわけではなく、周りの子も皆同じように野球をしていた。リトルリーグやクラブに入っていなくても、路地裏とボールが有れば遊びは野球と決まっていた。丁度「うちの子はゲームばかりして」と言われだした世代だったが、結構外で遊んでいた記憶がある。


 ただそれから20年以上の年月が経った。近所でキャッチボールをする子供の姿は極端に少なくなった。別に全ての子がサッカーやテレビゲームに宗旨替えしたわけではないが、ともかく街角から気持ちいいミットの音を聞くことが無くなった。それと正比例するように、ボールを扱える子供が少なくなっていった。

 自分が至極当たり前だと思っていたキャッチボールという動作は、意外と修練のいるものだったのだ。ジェネレーションギャップを感じた出来事だった。


 ところでセレッソが発行しているオフィシャルマガジン「12th」に今号から「Soccer Kids」という子供向けの冊子が同封されている。

 小学校低学年向けの冊子なのだけれど、サッカー教室の様子やちょっとしたテクニック講座(眞中コーチと横山コーチが実演している。贅沢極まりない!)、運動中の効果的な水分摂取方、夏バテしない食事の啓蒙などかなり充実した内容になっている。親の世代が見てもかなり面白い。

 こういう冊子からサッカーに興味を持つ子供もいるだろう。セレッソにはちびっ子のアイドルモリシもいる事だし、意外とすんなり根付いてくれるかもしれない。


 そうなってくると、私に孫が出来る頃には「おじいちゃんリフティングも出来ないの?」なんて事を言われる時代になっているかもしれない。何が有っても不思議ではない。祖父の時代に野球を始めるよりも、今の子供たちがサッカーを始めるほうが、はるかに簡単だし、恵まれた環境なのだから。





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